漫画について(2)

私が大きく影響を受けた最初の漫画は、萩尾 望都のポーの一族シリーズの「小鳥の巣」という漫画でし

た。その時の別冊少女コミックはすごかったですね。大島弓子竹宮恵子などの代表的な作品が同時進行

でいくつも載っていたんですから。

とにかく「小鳥の巣」を読んですごい衝撃を受けたわけですよ。いままで気づかなかった世界がいきなり

目の前にぱあっと広がったような、その時の部屋の様子までいまでも鮮明に覚えてます。

印象的なシーンをあげると

  時は春、
  日は朝(あした)、
  朝は七時、
  片岡に露みちて、
  揚雲雀(あげひばり)なのりいで、
  蝸牛(かたつむり)、枝に這ひ、
  神、そらに知ろしめす。
  すべて世はこともなし。

英国の詩人ロバート・ブラウニングの詩です。読んだ人しか解からないけど、漫画の中にこの詩を

朗読するシーンがあります。

もう一つ、エドガーがグロフ先生と深夜お茶を飲むシーン。これも、感動しました。

春浅い寄宿舎の庭の、冷たい空気や木の葉のざわめきが聞こえるような、美しい場面でした。

漫画という媒体がここまで心の奥を揺さぶるのかと、ある意味ショックを受けた作品です。