コミ研「11人いる!」記念記事~萩尾望都のこと~

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最近、本楽大学の校長業務をサボり続けているしろねこです^^;

そんな低調な大学のなかで、大学内にできた同好会の一つ、「コミックス同好会」が盛況です。

主催は月の骨さん

ついに先日、会員が11人になりました。
会報誌「『○○人、いる!』/コミックス同好会ニュース」も、念願の「11人いる!」が発行され、ますます会の活動が盛り上がっていきそうです。

そこで、一応の入会規定にあった「萩尾望都についての記事」を書いてみようと思い立ったわけであります^^;
今更の入会記事ですが、萩尾さんと言えば、マンガ界の巨星。
幾多の名作を書き上げ、少女マンガを変革した方とも言われる偉大なマンガ家であります。

名作「ポーの一族・小鳥の巣」は私のマンガに対する考えをあっさりひっくり返してくれた、思いで深いものでした。
「精霊狩り」「小夜の縫うゆかた」「スター・レッド」「百億の夜と千億の昼」「イグアナの娘」「残酷な神が支配する」そして「11人いる!」などなど。
ここに挙げきれないほど名作、傑作の山を築いた人でもあります。

でも、何故か、ある作品だけが、陽があたらないでいるのです。
「まんがABC」という短編です。
萩尾さんを語る上で、とても重要な作品だと思うのですが、なぜか単行本未収録です。
24Pという短いものですが、このマンガには深く感銘を受けました。

それは、「かつてこの1本の線をこよなく愛した。」という一文です。
白いケント紙に、ペンを持つ手が、1本の線を引いている1コマ。

Gペンで描かれた短い1本の線は、確かに初期の萩尾さんの線でした。
強弱のある柔らかな描線。

そしてこう続きます(ウロ覚えなので、間違ってるかも^^;)

「でも、今はすこし疲れてきて・・」

硬い強弱のない線画の作者の姿が次のコマでした。
「感動もなく機械的に手を動かしている自分を見つけることがある」と。

そうか、大作家である萩尾先生もこんな悩みがあるのだな、とその部分はくっきりと記憶に残りました。

でも、その24ページは、萩尾さんのマンガに対する思いや、自分が読んできたり、影響を受けたりしたマンガ家のことやSFのことが満載で、楽しい読み物でもあったのです。
岡田史子のことも、ここで初めて知りました。

また、ブラッドベリ始め、ブラウンや、海外のSF作品に対する熱い思いや、ちょっとイヤミな「これを知ってればあなたも相当のSF通ですぞ」なんてコメントのある用語が載ってたり(笑)。
なんで、単行本に載せてくれないのかなあと、今でも読みたいファンは、文句をたれるしかありません。

また、アシスタントや友人の楽屋内の話もあり、当時は知らなかったのですが、佐藤史生さんや、花郁悠紀子さんも登場して、華やかな交遊録にもなってましたね。

どこの出版社でもいいから是非陽の目を見させてほしい傑作です。