Yahoo!ブログ終了

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ご無沙汰しております。
ブログ終了のお知らせを見てから、グズグズして何の行動も起こさなかったのですが、遂にコメントも編集も出来なくなると知ってちょっと慌て始めたしろねこです。

とはいえ、この先続けて行く気もないのに、移行してもなーと言うのが本音でした。
ここへ来て未練が出たのは、やはりあの頃の楽しかった記憶まで消え失せてしまうこと。
あの頃確かに私はブログとそれを通して知り合った何人もの友達に確実に救われたのでした。
大げさではなく、言葉通り。
本の話題、ミステリやSFのこと、日常から離れて他では語ることのできないような話題を、面白可笑しく時に青クサく語れたのは単に楽しいだけではありませんでした。未知の世界が広がっていく興奮や驚きを味わうことができたのです。
それは日常生活にはない刺激や喜びを与えてくれました。
そういう体験をこの先またできるのだろうか?
自分の中で、大きな財産である「しろねこ日記」。
他の人には取るに足らないものであっても。
ネットの藻屑にするには忍びないので、はてなブログに移行しようと思います。
URLなど決まりましたらお知らせいたします。
尚、移行先は犬ブログになる予感も(笑

画像は2017年3月のもの。
愛犬こだまです。

はじめまして、しろねこと申します

はてなブログの皆様、はじめまして。

しろねこと申します。

ヤフー!ブログより移行して参りました。

現在の興味はミステリから結構離れて犬とか犬とか犬のことばかり。

そう遂に念願の柴犬を飼っているのです。

ヤフー!ブログ記事の保管庫として開設したため、あまり活発な更新などはできないかと。

いつの間にやら犬ブログに変化しそうです。

しかしそうなっても緩いSNSの使用者として許されますよね。

どうぞよろしくお願いいたします。

今野敏 『自覚 隠蔽捜査5.5』

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内容紹介
この男の行動原理が、日本を救う! 〝変人〞警察官僚の魅力が際立つ超人気シリーズ第七弾。署長・竜崎伸也はぶれない。どんな時も――誤認逮捕の危機、マスコミへの情報漏洩、部下たちの確執、検挙率アップのノルマなど、大森署で発生するあらゆる事案を一刀両断。反目する野間崎管理官、〝やさぐれ刑事〞戸高、かつて恋した畠山美奈子、そして盟友・伊丹刑事部長ら個性豊かな面々の視点で爽快無比な活躍を描く会心のスピンオフ!


隠蔽捜査5.5。
小数点付きということで、短編集です。全7編で、各短編には「隠蔽シリーズ」の名脇役たちが主人公となって出演。
彼らが捜査や判断、訓練に行き詰ったときに、頼るは竜崎署長の胸のすくような快刀乱麻のアドバイスです。

面白かったのは「訓練」

竜崎が恋してしまった女性キャリアの畠山美奈子。スカイマーシャルという航空機に乗り込む覆面捜査官の訓練を受けることになります。英語力、銃器の扱い、挌闘訓練など高度なスキルが要求されます。

厳しい訓練に初日から失敗だらけで、意気消沈した美奈子はかつて上官だった竜崎に電話をします。

竜崎のセリフはよかったですね。

「特質を活かせ」「利用できるものはなんでも利用しろ」「女性だから不利なのではない。女であることは君の特質だ」「女を武器に利用しろ」


この言葉を聞いて、美奈子はその後の訓練でとにかく頭を使って切り抜けていきます。犯人役の前でわざとつまずいたり(笑)

飛行機の犯罪ですからハイジャック、テロ。そんな凶悪な犯人を想定して、訓練は複雑に厳しくなる一方ですが、見事に美奈子はクリアしていきます。

竜崎の恋のときは、あまり好きになれないキャラでしたが、今回の美奈子はきりっとして男前でよかったです。

竜崎も、クールな助言に終始していたところを見ると、あの一件は鬼の霍乱だったのでしょう(笑)

シリーズおなじみの戸高、野間崎管理官、伊丹刑事部長など、脇役たちが直面する困難に竜崎は、署長室で判子を押しながら、見事に直球ストレートな助言を与えて、解決してしまいます。

皆、一様にぽか~んとしながらも、竜崎マジックにかかったように助言を受け入れて、実際事件を解決に導いていくのです。

今回の竜崎はアームチェア・ディテクティブっぽい立場でしたね。

相変わらず、伊丹さんにはツンデレでした(笑)

連作短編もいいけれど、早く竜崎本人の活躍が読みたくなるところです。

情報 今むかし

最近よく耳にしたり自分でも言っている言葉に「もうテレビはあまり見なくなった」がありませんか?

インテリさんから、情報に敏感な若い世代、そして私のように若くもない普通の主婦まで。

まったくインターネットを知らない世代も、まだまだ多いし、ネットやPCに無関心ですという若い世代も0ではないでしょう。でも、今圧倒的に情報を求める媒体にインターネットを使い、そちらの情報を信じているグループが増えています。新聞も取っていない人も、かなり増加しているみたいですね。

まだ若いテレビ(白黒放送)で、初めてメディアの洗礼を受けた世代としてみると、当時の高度成長期を支えていた日本人の一体感は、少ない娯楽のなかで、凝縮された熱気をはらんで醸成されたもののような気がします。
皆、一様に貧しかったし、すかすかした焼け野原のなごりのある土地には、まだまだ何か進歩とか発展とかの余地が、贅沢に残っていました。

都市の中心部では、鉄筋コンクリートの建設が音を立てて響き、空をどんどん切り取っていきましたが、まだ青空は埋め尽くそうにも広く広く頭の上に広がっていました。

そこに大きな夢の匣として登場したのが、テレビです。

ニュースや天気予報から、今日のお料理の献立、そして、見たこともない面白いバラエティ。

歌やお芝居、プロ野球

プロレス、拳闘、大相撲。

人類の月面着陸、ケネディ大統領の暗殺、etc・・・

もちろん東京オリンピック、皇太子ご成婚も。


日本中が手に汗握って、応援したり悲しんだり、悔しがったり。

思えば、荒削りながらダイナミックで簡単で、シンプルで(同じか)。

ひるがえって、今の状況を見て見ると、情報という量の膨大なことにまず怯んでしまいます。

我が家は夫と私と20代の息子の3人家族ですが、各々の持ってくる情報がいろいろ違うサイトから引っ張ってくるのも、面白いのです。
要は、個人個人、世代、職業などで渉猟するサイトに差が出ているのですね。

youtubeを見ても、旦那は洋楽、息子はゲーム、私は動物とか。けっこう違ってきてます。
3人とも観るのはお笑い系かな(笑)


今のうちは面白がっていても、これって世代間の断絶ではないのかな。
世代だけじゃなく、生活レベルとか、男女とか、趣味とか。もちろん知的レベルとかで、ものすごい情報の細分化が起きているのでは。
昔は、まだ大きな枠の中におさまってグループを形作っていたのに、未来はまるでモザイクのように細かく分かれたグループができていそうです。
そうなると、グループの結びつきも弱まって、自壊作用をおこしてしまうのではと心配になるくらい。

しかも、それが長く続くと世界はどう変貌していくのでしょう。
英語が世界言語になっていけば、国家とか大陸とかを越えて「カムチャッカの若者」も「メキシコの娘」も隣に住んでいるようにコミュニケーションがとれる、しかし、現実の隣人とは顔を合わしたこともない。というような現象が普通に起こりそうです。

文化圏という言葉も意味が変わってくるかもしれません。
日本とか、欧米、アジア圏ではなく「アニメ系」「法科系」「健康系」とか(笑)サイトの文化的特徴が文化圏を形作っていったり^^;

さらにそれが長期化していくと、情報の量はどんどん加速度的に増大し、人間の手に負えなくなっていく。そこで、さらに情報を整理するシステムをつくる。

ん~、なんだか妄想じみてきました(笑)
まあ、文化系の頭でかんがえてるので、ここらへんが限界ですが。。。


民族とか国家とかの大きな組織や、古里とか母校とか、会社とかサークルとかの小さな組織まで。

色々な人間の集まりで、様々な価値観が共有されている現実。グループの中にいる心地よさや、居心地の悪さ、など人の集まりにある特有な匂い。
こんな共感とか、疎外感とか、争ったり、集ったり、そういう現実的な肌で感じる一体感がどんどん薄れていくような。

私はこういう世界が悪いとは思わないし、自分的には心地よさを感じてしまうのですが。
やっぱり生物、動物としての人間臭さがなさすぎるのも、問題のような気がしてきました。


とんとん とんからりと 隣組
格子を開ければ 顔なじみ
廻して頂戴ちょうだい 回覧板
知らせられたり 知らせたり

とんとん とんからりと 隣組
あれこれ面倒 味噌醤油
御飯の炊き方 垣根越し
教えられたり 教えたり

とんとん とんからりと 隣組
地震やかみなり 火事どろぼう
互いに役立つ 用心棒
助けられたり 助けたり

とんとん とんからりと 隣組
何軒あろうと 一所帯(ひとしょたい)
こころは一つの 屋根の月
纏(まと)められたり 纏めたり

(ドリフの大爆笑の節で)




わはは、子供時代の「となりぐみ」という歌です。

ここまで密接なお隣も息苦しいですが、昭和の庶民はホントこんなものだったんですよね。

Yahoo!アクセス解析って面白い


9か月ぶりの更新でした

その間にYahoo!ブログに不思議機能が!

アクセス解析」なるボタンが登場し、ポチするどんな訪問者がどの記事を見ていったかが分かるという。

もう放置しっぱなしなので、ホントに過疎のブログですが、6月12日、訪問者12、PV19、読んでいかれた記事は↑のような結果でした。


あまりコメントの数などには関係なく、いつもアクセスされる記事が分かってくるのも面白いですね。
どうしてこの記事が毎日読まれてるの?という疑問もあり、ググってみると最初に出てたりするんですよね。

まあ、ページが開かれた結果なので、本当に読まれているかは定かではありませんが、ホーソーンや、詩の書庫にある記事やモロー、モンス・デジデリオなど絵画関係が、けっこう出ています。

一番人気(笑)はなぜか「コリント人への手紙・愛の賛歌」っていうのが笑えます。

皆さんの人気記事は何でしょうか

宮下奈都 『羊と鋼の森』

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内容紹介
ゆるされている。世界と調和している。
それがどんなに素晴らしいことか。
言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。

「才能があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。(本文より)」

ピアノの調律に魅せられた一人の青年。
彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。


宮下奈都、初めて読む作家です。

収穫でした。本屋大賞ということで、書店ではあちこちで平積みになってました。

ベストセラーには厳しいひねくれ者の私でも、この本がたくさんの人に読まれることを願わずにはいられません。

ピアノの調律師というあまり馴染みのない世界を描いたこの作品。
タイトルの羊はピアノの弦を叩くハンマーのこと。羊毛のフェルトでできています。鋼は言うまでもなくピアノ線。弦のことですね。

調律するときピアノの蓋を開けると、ハンマーと弦が整然と並ぶ「森」が姿を現します。

物語は主人公の青年が、この森へ足を踏み入れ、深く尽きない森の中をさまよいながら自分の進む道を見出していく、そんな成長の過程を優しくあたたかな目線で描いています。
ピアノに関わる職業の中でも、地味で注目されにくい分野ですが、ここに登場する調律師たちが厳しい修行と、鍛錬を果てしなく続けるところは、ピアニスト、作曲家などとは違った面で、奥深い果てしない芸術性を持っていることを知りました。

クラシック音楽や楽典に疎くても、「ラ」の音が440ヘルツだと初めて知っても、この小説が持つ不思議な力はちゃんと伝わってきます。

主人公、外村が出合う人々。

天才的な調律師、板鳥さん。

かわいらしい双子の女子高生、和音と由仁。

上司の柳さん。

彼らとの会話は日常の一幕、普段の情景ですが、また大きな比喩にもなっているようです。

芸術や美、哲学的な命題をこの小説は調律を通して、実に巧みに解き明かしてもくれます。

淡い恋の情景や、力んで失敗してしまう恥ずかしい記憶、ピアノ演奏の感動。

一つ一つが、静かで優しい筆致で語られるにも関わらず、読み手の中に芸術の森の尽きせぬ魅力を密やかに深く沈めていきます。

幸せな音、幸せなピアノ。外村は調律を通して、「美しい」という未知の喜びを知ってしまうのです。
板鳥さんの言った理想の音に関する次の一文は、人生のいろいろな側面できっと指針になるでしょう。

明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深い文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体

原民喜が自分が憧れる文体について語った言葉。
こんな音を天才調律師は求めているのです。

憧れて、追い求めて、日々地道に努力を重ね。
でも、見合う結果を得られるものは、ほんの一握り。
そんな深く恐ろしい森に入り込んだ人間の弱さ、小ささ、そして尊さや気高さをすっと染み込むように伝えるこの作品。
若い途上にある人たちにぜひ読んでほしいと思います。