秋の歌

短歌といえば五七五七七。
一番有名でなじみ深いものに百人一首がありますね。

秋にちなんで、「秋の歌」でも並べてみるのも一興です。

では百人一首より



奥山に 紅葉ふみわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋はかなしき   猿丸大夫

吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ   文屋康秀    

月見れば 千々に物こそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど   大江千里

このたびは 幣も取りあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに   菅原道真

八重葎 しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり   恵慶法師

嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 龍田の川の 錦なりけり   能因法師

さびしさに 宿をたち出でて ながむれば いづくも同じ 秋の夕暮   良ぜん法師

秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ   左京大夫顕輔(さきょうのだいぶあきすけ)


そして、桜の歌、春の歌で有名な西行も、秋を詠んでいます。


染めてけりもみぢの色のくれなゐをしぐると見えしみ山べの里   

名におひて紅葉の色の深き山を心にそむる秋にもあるかな   

あき風のふけ行く野邊の虫の音のはしたなきまでぬるる袖かな  

さびしさは秋見し空にかはりけり枯野をてらす有明の月




夏が終わり涼しい風に癒されるとともに、寂しさをどうしても感じてしまうのが秋です。

紅葉、十五夜、落ち葉、秋は何かの節目、終わりの予感に満ちています。

そんな雰囲気をぶち壊してしまうのですが、ここで一句。


秋ふかし 芋のかおりの 遠ければ ついふらふらと 足のむくかな


おそまつ。