島田荘司 『摩天楼の怪人』

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いまさらと言う感じもありますが、最近遠ざかっていた島田荘司を、また読み始めています。

「アトポス」以後読んでないので、いろいろ楽しめそうな作品が待っててくれるのではないかと、期待が高まっています。

この「摩天楼の怪人」は評価も高く、実際読んでみて昔の御手洗潔のシリーズを読むようなわくわく感を感じさせてくれる傑作でした。

1969年、ニューヨークのコロンビア大学助教授をしていた御手洗は、ブロードウェイの往年の大スター、ジョディ・サリナスの臨終に立ち会った。

 彼女は1921年、嵐の夜に当時の興行家ジークフリート氏を射殺した、という告白をする。

しかし、その日は嵐のためマンハッタンは停電し、エレベーターは停止していた。ジョディは34階の住居から、15分の間に1階のジークフリートを殺してまた34階に戻らなければ、事件のつじつまが合わない事となる。

ジョディ自身もどうやってそんな不思議なことが可能だったのか、解からないという。
ただ、自分をずっと見守ってくれた「魔王」が、魔法を使って助けてくれたのだ、そう信じていた。

摩天楼の住居、そこに溢れる怪異な現象の数々、御手洗は1921年の謎に挑むが解決にいたるのか? 

島田作品独特の大胆なトリックは健在でした。

オペラ座の怪人」を下敷きに、華やかな女優と怪人との叶うことのない恋。

マンハッタン島の辿った歴史、摩天楼に突き刺さったガラスのテラス。

様々な魅力的なモチーフが、いくつもの不思議な謎を撒き散らしていきます。

御手洗の推理が、快刀乱麻のごとくその絡まりあった謎を断ち切っていく最後のシーンは圧巻でした。

しかし、御手洗はいったい何歳で助教授になったのでしょうか?
20代前半としか思えないのですが、あの素晴らしい頭脳で飛躍的に出世したのでしょうか(
笑)