蒼井上鷹『九杯目には早すぎる』

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あおいうえたか。あいうえお、みたいな名前の作者。
この本がデビュー作らしいです。

九つの短編が収められています。一つ読むたびに一杯のグラスが空になっていく洒落た装丁。

作風はユーモラスで奇妙な味わいのミステリといえるでしょう。
ひねりもきいて楽しめるし、各章の終わりに「参考」として「キリオン・スレイ~」とか「シンプル・プラン」「九マイルは遠すぎる」など有名作家の作品が付けられていて、関連を読む楽しさもあります。

中では「見えない線」が、ユーモアと哀しみがそこはかとなく滲んでいて良かったですね。

私は元来、こういった洒落た短編集を積極的に読むほうではないのですが、ダールやチェスタトンがお好きな方には、お薦めです。

小説推理新人賞受賞作「キリング・タイム」も面白い。

しかし、私の好みではない作家さんでした。2作目以降はたぶん敬遠してしまいます。
やはり、もっとギトギトした暗くダサい小説が好きなんだなあ、と自分の狭い価値観を知らされた作品でしたね(笑)