恩田 陸 「ネクロポリス」

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 恩田陸のファンタジー・ミステリーです。

 そんなジャンルあるんかい、と突っ込んだ人も読んで納得のオススメ本です。

 現代の作家で、物語を語らせたらこの作家の右に出る人はいないのではないか、と思っていましたが期

待を裏切らない良い作品でした。
 
 ストーリーは、V.ファーという架空の国(英国の一地方?)に住む人たちの不思議な風習「ヒガ

ン」、それににまつわる日本との関係、生者と死者の出会いを軸に、連続殺人事件を絡めながら進んで行

きます。「ヒガン」になると生者と死者が一年に一度会えるアナザー・ヒルに招待された主人公ジュンイ

チロウは、その不思議と謎に満ちた祝祭にどんどん惹かれていきます。過去に亡くなった人たちが、実体

を持った存在として現われ遺族や友人たちと交流する、不可思議なのに、なぜか心安らぐ風習。

 しかし、今年のヒガンは最初からどこか不穏な空気が・・・・。



現実と異世界が同時に存在するアナザー・ヒル、死者を「お客さん」と呼び迎え入れるV.ファーの

人々、そこで起きる連続殺人事件と怪異な超自然現象。

 読み進むうちに、現実と向こう側の世界の境界が薄れていくような、怖くてなぜか懐かしい気持ちにな

る小説でした。行間に漂うケルトと日本の神道の神話の世界、恩田ワールドにどっぷりと浸って幸福な時

間を過ごしました。紅茶やビールを片手に楽しむことをおすすめします。


余談ですが、「V.ファー」って何かの寓意が隠されているのでしょうか?誰かお分かりになった方、教えてください。私は「V」はヴィクトリア王朝のVかなと推測したのですが(作中ヴィクトリア大学が
でてきます)ファーって何?と考えても浮かびませんでした><

追記
りあむさんに教えてもらいました。↓ファーイースト・ヴィクトリアン・アイランド
文中にありました。粗忽でしたね^^;;

お薦め度★★★★☆