図書貸し出しカードの思い出

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 金無し、家狭い、でもミステリー読みたい。

 こんな私に欠かせないのが区立図書館です。最近は区内の全図書館からカード一枚で貸し出しOKという

ありがたいシステムがあり、しかもインターネットで予約、検索、さらには借りた本の返却状況まで確認

できる便利な世の中になってきました。

 ただ、昔のように自分が借りた本の履歴がカードに残ることもなく消えていくのが味気ないような気も

します。図書カードといえば昔(はるか昔ですが)学校の図書館をよく利用していたときのことを思い

出します。

 中高一貫の女子高にかよっていた私は、よく図書館にいりびたっておりました。その頃はパソコンなど

という洒落た物は影も形も無くて、紙のカードですべて管理されておりました。生徒が持つ個人の「図書

カード」、本の背表紙に挟まれた「貸し出しカード」、2種類のカードで図書委員さんが手書きで貸し出

してくれたのです。その他に木造の引き出しがいっぱいついた、蔵書目録カードの棚があり、索引ラベル

が付いて五十音別、著者別、内容の種類別に分かれていました。利用者はその引き出しを選び、ガラガラ

と引っ張り出し一枚一枚繰りながら目当ての資料を探したものです。


 その頃、流行っていた漫画に「ベルサイユのばら」とか「トーマの心臓」とかがありました。「おにい

さまへ・・・」なんていうのもあったかなあ・・・。

 合コンなんて存在しなかった時代、年頃の女の子たちは恋へのあこがれを身近な同性を対象にして、擬

似恋愛ごっこをしていたのです。漫画の影響もけっこうあったのではないかと思います。

 「トーマの心臓」だと思いますが、(これはギムナジウムに通う男の子たちのお話)あこがれの上級生

にすこしでも近づきたい一心で、上級生の図書カードを見て彼が読んだ通りの本を、後追いして借りて

読む、という場面がありました。これが学校でちょっとブームになったのです。

 あこがれの先輩の図書カード通り、本を借りる女の子たちがいっぱいいました。ちゃんと読んでたのか

は不明ですが、先輩の思索の後をたどるのは、ただあこがれを込めて見つめるだけではないロマンチック

な高揚があったのでしょう。
 

誰でも見ることができるケースにクラス別に個人用のカードは入れられていました。私も本好きの友人が

最近は何読んでるのかな?とチェックしたり、互いに見せ合ったりしたものです。

 読書家の生徒はカードが3枚綴りになってたり、その人の個性が伺われるちょっと恥ずかしいような

感もあるシステムでした。もちろん自分が読んできた本の記録もしっかり残っています。6年間で、何冊

になったのか覚えていませんが、今見たら、中学1年から高校3年までの成長の記録にもなっていたので

は、と懐かしく恥ずかしく思います。

 実家のどこかに眠る6年間分の読書記録・・見ない方がいいような、もう一度振り返ってみたいような

甘酸っぱい思い出のお話でありました。

 
ところで、他人の本棚って興味あるけど見るほうも見せるほうもちょっと恥ずかしいですよね。

※写真と本文は関係ありませんw