(3)Mr.MHG LAST HAUNT

第三章 ジャックは武器をとった



 ジャックの誕生日を祝って、若者達も参加して乾杯の音頭がとられた。4人の老ハンターたちは、熱い

期待に満ちた歓迎の拍手に迎えられ、照れくさそうに杯を干していた。

「あのう、僕ら若いハンターの代表としてお礼を言わせてもらいます。今日は本当にありがとうござい

 ました。色々教えてください。よろしくお願いします。」

 リュウヤの挨拶が皮切りになって、若者達が口々に老ハンターへの質問を始めた。

「何頭ぐらいレウスを倒しましたか?」と言う単純なものから「ハンターとして一番大切なことはなん

 ですか?」など一言では答えられないものまで。若者達の熱い気持ちに答えようとジャックも、真剣に

 考えながら話してやった。飛龍討伐の話になると老いも若きも夢中になって、夜遅くまで話はつきなか

 った。

 そして宴も終わりみんなが部屋へ引き上げようとしていると、リュウヤが近づいてきた。

「ジャックさん、明日は実技の講習をおねがいしたいんですが・・・。」

「おお、そういう話だったな。」

「みなさん、大丈夫でしょうか?ハルさんは目が悪そうだし、うちのケンジじいちゃんは、あのとおり

 耳がまるできこえないし・・。ジャックさんは元気そうですけど、ボンドさんも大分太ったみた

 いで・・。」

 ジャックもううむと考え込んでしまった。

「そうだなあ、じゃあ簡単な狩りをやって基本の動きを見せるていどにしておくかな」

「ですね、クックとかゲリョスとか、そのへんなら危険はないですよね」

リュウヤも発案者だけに老人達に万一のことがあっては、と責任を感じていたようだ。

「まあ、老いたりとはいえ皆かつての凄腕たちだ。防具も最高レベルを装備しているし、大丈夫だよ」

慰めるようにポンとリュウヤの肩をたたくと、ジャックは上階のビショップルームへ上がっていった。



 翌朝は快晴だった。

 若いハンターもそれぞれの装備をつけて、ジャックたちが来るのを待ちかねていた。ガシャガシャと

重々しい音が聞こえた。4人の老ハンターたちがやってくると、皆息を呑んで、その素晴らしい装備を

見つめた。剣士たちは、ミラバルカンやドラゴンS、ハルは暁丸・皇だった。

「すっごいなあ!!」「紅玉がいくついるんだ?あの装備!」若いハンターたちにとってあこがれの究極

の防具である。

「さて、どの飛龍を狩りにいくんだ?グラビか、それともディアにするか?」

ボンドはすっかりやる気になっている。

「まあ、今日のところは軽く腕慣らししがてら、皆に基本の動作などを見せてみようかと思うんじゃよ」

ジャックの言葉にボンドは

「まさか、クックとか狩ろうってんじゃないよなあ、ジャック」と不満をあらわにしている。

「いいじゃないか、クックで。皆も見学するのが楽だろうが?」

とジャックはたしなめた。確かにギルドの特別なはからいでジャックたちハンター4人に加えて、

若者たち6人の参加が許されている。もちろん手を出すことは禁止であるが、見学だけならということで

OKしてもらったのだ。とはいえ、モンスターたちはハンターだろうが、見学者だろうがおかまいなしに

攻撃してくる。とくに、グラビモスの熱線などは見学者など容赦なく即死にしてしまう。

「うむ、それもそうだなあ・・。じゃあ見通しのいい森と丘のフィールドでゲリョスなんかどうだ

 ろう?」

「よし、ではクエスト受注してくるぞ。」

ジャックはブループロミネンスに武器を変えると、酒場のベッキーのところへ行ってゲリョスを貼りだ

した。クエストボードの張り紙を見ると、狩りに明け暮れた昔の日々が生々しくよみがえった。

ハルはディスティハーダ、ボンドは溶解鎚【煉獄】、ケンジはゲキリュウノツガイで登場した。

「では、みんな用意はいいか?」

「おう!」老いも若きも、気合の入った返事を返してきた。ジャック一行は、酒場のドアをくぐり抜け

弱肉強食の掟が支配する、フィールドへと足を踏み入れた。