2006-04-14から1日間の記事一覧

安西冬衛 『春』

春 てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行つた。 一行の詩の中に、この上なく美しい一枚の絵画が浮かび上がります。 <蝶来タレリ!>韃靼ノ兵ドヨメキヌ(辻征夫) こういう句もありました。

中原中也 『サーカス』

サーカス 幾時代かがありまして 茶色い戦争ありました 幾時代かがありまして 冬は疾風吹きました 幾時代かがありまして 今夜此処での一(ひ)と殷盛(さか)り 今夜此処での一と殷盛り サーカス小屋は高い梁 そこに一つのブランコだ 見えるともないブランコだ 頭…

ゼナ・ヘンダースン 『ページをめくれば』

ゼナ・ヘンダースンは寡作な作家です。 1951年、「おいで、ワゴン!」でデビューしてから83年に65歳でなくなるまでに54編の中短編を残しました。なかでは「ピープルシリーズ」と呼ばれた作品が飛びぬけて評価されています。 日本では「果てしない…