貫井徳郎 『明日の空』

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内容(「BOOK」データベースより)
両親は日本人ながらアメリカで生まれ育った栄美は、高校3年にして初めて日本で暮らすことに。「日本は集団を重んじる社会。極力目立つな」と父に言われ不安だったが、クラスメイトは明るく親切で、栄美は新しい生活を楽しみ始める。だが一つ奇妙なことが。気になる男子と距離が縮まり、デートの約束をするようになるが、なぜかいつも横槍が入ってすれ違いになるのだ。一体どうして―?


2冊続けて「騙された~!」系の本を読んでしまった。その方割れがこちらの「明日の空」。

けっこう最後まで種あかしがないので「え?え?これってどうなの?ミステリでいいの?」なんて心配になるくらいだったのだが・・・。

う~ん、気持ちよく騙されました。

そして読後に残るこの切ない感じ、貫井さんらしからぬ爽やかな風・・・。

そうか、そうなんだよね。栄美(エイミー)って帰国子女だったもんな~、と思わずうなってしまう。


でもこの物語は、ミステリとして鮮やかに騙すというよりは、青春小説としての成果のほうが大きいと思います。
人生に負けそうになっても、くじけない強さ、優しさ、そんなちょっと口に出すには恥ずかしいような言葉をとても上手く伝えてくれる。
そんな小説でした。



以下ちょいネタばれね。























エイミーが帰国子女というところがポイントでしたね。
やはりこれの映像化は無理でしょうね^^;;

山崎のことを初めは飛鳥部かと思いながら読んでいたのですが、見事に騙されました。
でも、アンディの言葉やそのバトンを繋いでくれた山崎の言葉は、本当に暖かく心にしみました。
きっとエイミーも誰かにバトンをつないでくれるといいな。



























と、久しぶりの書きおろし長編なのかな?(たしか10年ぶりとか)
長編というにはサクサク読めてしまうのですが、爽やかな読後感がとてもよかった。
貫井さんはどうも、暗い重い印象だったのですが、こういうのもいいですね。