安東能明 『撃てない警官』

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内容(「BOOK」データベースより)
模範的な警官になろうと、誰よりも強く思ってきた。ノンキャリアながら管理部門で抜擢され、エリート部署へ配属された。だが、待っていたのは不祥事の責任を被る屈辱の左遷…。若き警部・柴崎令司が、飛ばされた所轄署で体験する人生初の悪戦苦闘。他人には言えない屈託を抱えた男が、組織と世間の泥にまみれて立ち上がる人気シリーズ全七編。第63回日本推理作家協会賞短編部門受賞作「随監」収録。

初めて読む作家さんでした。
警察小説ですが、花形の刑事ではなく裏方の事務系のエリートが主人公というちょっと変わった造りになってます。事件もそういう主人公が関わる、警察内部のあれやこれや、いわゆる醜聞が描かれます。

責任転嫁、裏金、ストーカー、怠慢。

まあ、様々な不祥事が並ぶのですが、最初の章で、責任を押しつけられ左遷の憂き目に会う柴崎が、復讐を胸に秘めながら、警察官としての仕事を通して出会う事件の裏側と真相が押さえた筆致で描かれています。
リアリティあり、柴崎が意外と鋭い推理を展開する爽快さもあり。
けっこう面白く読めて満足です。
まあ、ちょっと無理やりな展開も一つありましたが、総じて良く出来ていたと思います。(何さま?)

ただ、この作者のカラーが押し出されているような作品でもないのかな。もう少し他の作品なども読んでみたくなる作家でした。

しろねこ3.7匹ってところでしょうか(笑)