綾辻行人 『Another』

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内容(「BOOK」データベースより)
その「呪い」は26年前、ある「善意」から生まれた―。1998年、春。夜見山北中学に転校してきた榊原恒一(15歳)は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、いっそう謎は深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木ゆかりが凄惨な死を遂げた!この“世界”ではいったい、何が起こっているのか?秘密を探るべく動きはじめた恒一を、さらなる謎と恐怖が待ち受ける…。 



最初のほうは「六番目の小夜子」みたいな雰囲気。
学園ホラーであり、ボーイミーツガール的な展開。
秘めた不安と緊張をはらみつつ、学校生活が描かれます。このへんは、ちょっと冗長な感じでした。もう少し整理してもよかったかな。
しかし、中盤以降は謎が明らかになると、またさらなる謎が提示され展開が早くなっていきます。
夜見山という場所、ミサキという名前。不思議な現象なのか、意志ある呪いなのか。
真相は最後まで解明とまではいきませんが、一応納得のエンディングを迎えます。

しかし、読み終わってちょっと薄味だったかなという印象はいなめませんでした。
読みやすく、引き込まれる展開なのですが、やはり夜見山とミサキに恒一が出会う意味とか、肝心の呪いの説明が現象ばかりやけにリアルなのに、その原因はまったく解明されないところなど、ちょっと消化不良だったような・・・。

以下、多少ネタばれしてますので、未読の方はお読みにならないように^^;

















26年前に死んだ岬少年に端を発したこの怪異ですが、その中身がけっこう細かく書かれているのに、何故その現象が起こり、善意から発したことが、死を呼ぶ呪いに変化してしまうのかが、ちょっと飛びすぎていたような感じです。
恒一に関しては、母が26年前の岬の同級生とか、叔母が15年前の事件の当事者だったとか、不思議な因縁のある立場なのに、そこにも言及がないままでしたね。
鳴というキャラクターは魅力満載だったのですが、ガラスの眼球の意味、もう少しあってもよかったかな。
綾辻ホラーは双子とか好きですね^^;

三神先生と怜子さん、なんとなくそうかな・・・と思ってましたが、やっぱり^^;;
しかし、痕跡が消え、記憶も操作されるなんて、まるで神がかりの能力です。そのへんのお化けにできるスキルじゃありませんね(笑)

















まあ、いろいろ書きましたが、綾辻さんだけにクォリティーを過剰に求めすぎるきらいはありますね。
不満もあるけど、全体としては引き込まれる作品でした。
千曳さんが、ジャンプの「保健室の死神」みたいな感じでしたね~(笑)