金井美恵子 『スクラップ・ギャラリー』

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内容(「BOOK」データベースより)
ルノワールの犬から李朝民画の虎まで、古今東西。大好きな絵のスクラップ・コレクション。目の喜び溢れる、自在の魅力的な美術エッセイ集。


金井美恵子氏の美意識で、古今東西の美術品を自在に選んだ、まさにカナイギャラリー。

その中でも、全く未知の「李朝の民画」とか「長谷川潾太郎」とか「エドワード・ヒックス」とか。
新鮮な驚きで観ることができました。
「サーカス・ポスター」にまでコレクションを広げるその意欲は素晴らしいですね。
しかも、各章では金井氏の博識があふれるように、映画や小説のことが、関連して書かれています。

昔、ルノアールの絵は好きではなかったのに、息子ジャン・ルノアールの「わが父ルノアール」を読んで興味をもったことなど、映画好きの金井氏らしいエピソードもあり。
金井氏の美意識を全面にだした文章は、猫好きの彼女の偏愛ぶりや、作家や映画監督、画家などの好き嫌いもはっきりと語っていて、なかなかスリリング。ひやっとする文章がけっこう入っています^^;
ドラクロワは単なるロマン派の馬鹿・・・」とかね(笑)

ぼんやり小説や映画、絵画を鑑賞しているものにはわからない、彼女の独特の鋭い鑑賞眼が、怜悧な文章で読めるのも楽しい、というか、爽快です。

あまり日本では紹介されていない創作家の作品も多数収録されており、美術界の広さを感じることもでき、お得です。

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猫 長谷川潾太郎

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猫と毛糸                  窓とかまきり

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夜のカフェテラス  ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ

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ノアの箱舟     エドワード・ヒックス