深水黎一郎 『エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ』

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内容(「BOOK」データベースより)
モディリアーニやスーチンら、悲劇的な生涯を送ったエコール・ド・パリの画家たちに魅了された、有名画廊の社長が密室で殺されるが、貴重な絵画は手つかずのまま残されていた。生真面目な海埜刑事と自由気ままな甥の瞬一郎が、被害者の書いた美術書をもとに真相を追う。芸術論と本格推理をクロスオーバーさせた渾身の一作。 

おおべしみ警部に興味を持って読んでみたこの作品。
エコール・ド・パリという1派にはあまり思いいれがないのですが、暁宏之の著作部分はとても面白く読みました。さらに画家と画廊、芸術と経済の関係など、薀蓄部分がなかなか楽しく、ミステリのほうはもうショボクてもいいや、と思ってしまいました(笑)
 しかし、そのミステリのほうも(本当に人間がこういう行動をするかリアリティはないけど^^;)分かりやすい解決で好感でした。

で、肝心のおおべしみ警部ですが、まあ、自由奔放な言動、勝手気ままな捜査、噂通りの出鱈目ぶりで、こちらも大変気に入りました。主人公の瞬一郎を食いかねないキャラの立ちっぷりでしたね。
瞬一郎もプータローの探偵役という、基本パターンでしたのでもう少しキャラに個性がほしかったかも。

しかし、この作品で感心したのは画家の定義でした。
「絵がうまいのが画家というんじゃないのか?」という海埜の言葉に
「画家っていうのは、来る日も来る日も朝から晩まで24時間ずっと絵のことだけを考えて、それで少しも飽きない人のことを画家と呼ぶんです。」
と答えた瞬一郎の言葉は、真理だなあと思います。

読者への挑戦状という遊び心もいいですね~!
なんか、この作者、とっても好きになってきました^^v