山口芳宏 『雲上都市の大冒険』

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内容(「BOOK」データベースより)
白のスーツを身にまとう眉目秀麗な荒城咲之助、学ラン姿に近未来的な義手を持つ真野原玄志郎。二人の名探偵と、わたし殿島直紀が挑む雲上都市の謎。楽園の地下に潜む、座吾朗とは何者なのか?そして連続殺人に隠された真実とは?気障で美形の探偵&わらしべ義手探偵。二人の名探偵が織りなす抜群の物語性と、ラストに明かされる驚愕のトリック。第17回鮎川哲也賞受賞作。 

わはははは^^!!
こういう大時代がかった楽しいミステリは大好きだ~!

と、しょっぱなからテンション高いんですけど、まったくの新人さんの作品としては、大変楽しくかつ、人を喰ったミステリでした。読みながら「そんなバカな!」「そこまでやる?」とか、思わずブツブツ呟いたり。ブっと噴出したり、声を上げて大笑いしたり、読んでいる私の人格が疑われるだろ!(笑)

昭和27年の東北の鉱山を舞台にしたミステリ、と聞けば、暗く重く、貧しく悲惨なストーリーを思い浮かべると思います。が、この「~大冒険」はホント、明るく楽しく、悲惨や苦悩もあるのですが、全体のトーンが軽いのでさっくさっくと読むことができました。
たとえサクサクでも、内容が貧しければ良としないのですが、この作品、なかなか大したものでありました。
物語として魅力があり、登場人物の造形に何とも言えない、とぼけたオリジナリティがありました。

2人の探偵も、怪人・座吾郎も、脇役の麻雀3人組に至るまで、雲上都市の描写のなかに活き活きと取り込まれています。「人間を描く」という難しいことではなく、作り物の都市になんともしっくりと溶け込んで、作品を楽しく豊かに膨らませているのです。

特に、義手探偵の真野原のキャラは最近のミステリにないスットボケぶりで、初期の名探偵のカリカチュアというか、あと1歩で御手洗潔、くらいまで行く変人ぶりでした。

トリックがまた素晴らしくばか(爆)

これを思いついた作家はまだいると思いますが、こんなストレートにバカミスにするところなど、人を喰ったと言われてもしょうがないですよね^^;
ミス推理の一つにワトソン役の私が「鶏が死体を食ったのか?」って聞いてくるのも、笑えます。

とにかく、上質の謎とバカトリックがタッグを組んで誘っています。
お薦めの新人さんですね。
「エリス号~」も、楽しみになってきました。

ゆきあやさん、ご紹介ありがとうございました^^v


追記:投稿完了画面の「こんな記事もあります」に、お馴染みのメンバーがぞろぞろいらっしゃいました(笑