ジェシー・ダグラス・ケルーシュ 『不死の怪物』

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内容(「BOOK」データベースより)
深夜の杜で美女が惨殺された。先祖代々ハモンド家にとりついている不死の怪物がまた現れたのだ!一族にまつわる不気味な噂が流れるなか、美貌の心霊探偵が対決を余儀なくされた三千年の呪い、そのめくるめくばかりの真相とはなにか?幻の傑作とされていたホラー・ミステリの壮麗な金字塔をついに本邦初訳。 

現代では面白いホラーというと、非常に複雑になってしまって、遺伝子だの素粒子だの舞台立てのうまさで読ませることが多いけど、この作品はホラーの原点というか、シンプルなのにツボは押さえていて、やめられない面白さをもっています。
謎を解明していく美貌の女霊能者がストーリーを回していくのですが、この女性の知的で気迫に満ちた行動がいいのです。古色蒼然とした舞台なのに、ミステリを読むような、謎を解き明かすカタルシスが得られます。1922年の作品ですから、読みなれたミステリ好きなら、怪物の正体はわかってしまいますが、その点はあまりマイナスにもならず、なかなかワクワクさせられた読書でした。

ちょうど、息子が休みで家でゴロゴロしているので、環境としては細切れ読書だったのが悔やまれます。

こういう本は、暖炉のそばで、ゆったりとお酒でも飲みながら屋外の風の音をBGMに読むのが理想なんですが^^;まあ、暖炉のある家なんかに住んだことのない私が言う台詞じゃあないですね(笑)

本書は海外では名作として扱われ、映画化などもされたくらいだそうですが、日本の紹介は遅く、2002年刊行の本書が初めてということです。荒俣宏氏の解説も面白く、短編なども読んでみたくなる作者像でありました。

もねさん、いつもいつも未知の本のご紹介ありがとうございました^^v