鈴木光司 『エッジ 上下』

内容(「BOOK」データベースより)
人が消えていく―それは長野、新潟、カリフォルニアで相次ぎ起こった。誘拐、家出、神隠し、いやそれとも…調査をはじめたフリーライターの冴子は未曾有の世界的変異を嗅ぎとる。彼女の父もまた18年前に忽然と消息を断っていた―。「リング」シリーズ以来10年ぶりに解かれた封印。超野心的ホラー小説最終形。 

「リング」という怪物的にもの凄いホラーを書いた鈴木さんですが、どうもその後のシリーズは気が抜けてしまったような感がなきにしもあらず。並の作品では続編として霞んでしまうくらい傑作だった「リング」なので、気の毒とも言えるのですが^^;
さてホラーを封印して10年、鈴木ホラーがまた帰ってきたらしい。
なにかこの「エッジ」は読む前からよさげな期待感があったのです。

うんうん、これは好物でした^^v

声を大にして言いますが、万人向けとはとてもとても言い切れません。
大森望さんは、駄作と切って捨てられたようですし。壁本にされても、文句は言えないような結末。
でもね、3分の2くらいまでは本当に面白かった。結局大風呂敷を広げすぎて収拾がつかなくなった、というか、この結末に至る過程の大風呂敷こそが、この作品の読みどころ・・・と言った方がいいのかもしれない。
鈴木光司のエネルギーの強さのようなものに、また触れることができたのは、嬉しい体験でした。SFテイストが強いこの作品、ところどころにホラー的趣向も散りばめられてかなりゾクっとする部分もありました。

B級ですが、読んで損したとは思いません。
こういうでっかい嘘を構築してくれる作家、他にはあまりいないんじゃないでしょうか。