スティーグ・ラーソン 『ミレニアムⅠ ~ドラゴン・タトゥーの女~』

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内容(「BOOK」データベースより)
月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家ヴェンネルストレムの違法行為を暴露する記事を発表した。だが、名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れることになる。そんな彼の身元を大企業グループの前会長ヘンリック・ヴァンゲルが密かに調べていた。背中にドラゴンのタトゥーを入れ、特異な風貌をした女性調査員リスベットの働きで、ヘンリックはミカエルが信頼に足る人物だと確信し、兄の孫娘ハリエットがおよそ40年前に失踪した事件の調査を彼に依頼する。ハリエットはヘンリックの一族が住む孤島で忽然と姿を消していた。ヘンリックは一族の誰かが殺したものと考えており、事件を解決すれば、ヴェンネルストレムを破滅させる証拠資料を渡すという。ミカエルは信頼を受諾し、困難な調査を開始する。

スウェーデンの作家ラーソンの長編ミステリ3部作「ミレニアム」の第1巻です。

超ベストセラーとなった本書はなんと、世界で800万部も売れたそうです。しかも作者はその成功を知らぬまま出版の前年に心筋梗塞で急逝。なんともドラマチックなエピソードが付随しています。

しかし、そんなエピソードもぶっ飛ばすのが本書「ミレニアム」の骨太な魅力。まだ1巻しか翻訳されてないのがじれったい。
上下巻の長編で、登場人物は50人以上、しかも名前がスウェーデン名が覚えにくいというハンデがあるのに、ストーリーの面白さにグイグイ読めてしまいます。一言で言えば「ミステリの美味しいところをてんこ盛りにした小説」でしょうか。

主人公ミカエルはリンドグレーンの産み出した「名探偵カッレ君」に、もう一人のタトゥーの女性主人公は「長くつしたのピッピ」になぞらえたキャラクターですが、このピッピことリズベットが際立ってます。拒食症のように痩せこけて、パンクファッションに身を固め、コミニュケーションがとことん苦手な少女。
前半は経済ジャーナリストのミカエルの裁判について描かれるため、ちょっと停滞するかも知れませんが、そこを抜けると一気にストーリーは加速します。

「死者からの贈り物」
「孤島の犯罪」
「謎の暗号」

いくつもの謎が絡み合いせめぎあって、ミカエルの調査を進めたり妨害したり。
その結末もまた一筋縄ではいかないものでした。

贅沢なミステリであり冒険ものであり、次の巻が待ち遠しい作品でした。