歌野晶午 『葉桜の季節に君を思うということ』

内容（「BOOK」データベースより）
ひょんなことから霊感商法事件に巻き込まれた“何でもやってやろう屋”探偵・成瀬将虎。恋愛あり、活劇ありの物語の行方は?そして炸裂する本格魂。

再読です。

というのも「ヤラレタ！」「ええ～～～～！！？？？？」と驚愕の悲鳴があちこちから聞こえるもので、またしても再読心を刺激されてしまったのです。
ええ、ええ、もちろん忘れてましたとも（爆）

たしか「このミス」かなんかで１位を獲った本作。当時は流し読んで面白かったという印象だけだったんですが、再読して「ああ、そうだった！」と得心いたしました（←遅い！）

でも、この作品の面白いところはソコもあるのですが、決してソコだけではないところが良い所ですね。将虎のハードボイルドな語りのテンポのよさ、場面転換で登場する詐欺師集団のくだり、何故か将虎の若き日の事件の挿入など、畳み掛けるような展開が読む手を止められなくなってしまう面白さです。

もうページも残り少ないのに、どの事件も中途半端なところにぶら下げられている。それが、どたん場でまさかの大団円！いやはや、なんと言うか、奇想天外な作品を創り上げた歌野さんに脱帽です。
まあ、このトリックというか、騙し絵のような作品がダメという方も多いと思います。なんといってもアレですからね（笑）
それでも、やはり本格推理の異端としては最高レベルの水準ではないでしょうか。

歌野さんはデビュー作とこの作品くらいしか読んでないのですが、今後ちょっとはまるかもしれない作家になってしまいました。
ああ、そんな作家ばかりふやしてどうするんだ？ワタシ！？