2008BEST50(その1)

2008年はどうも再読ばかりしていたせいか、この本凄い!!というイチオシがなかった年でした。
しかしながら、未知の作家さんとの出会いや、意外な傑作が読めたことも多く、読書としては充実していたと思います。まあ、リアルが忙しくなったせいもあり、記事の数が激減してしまったのは、いかんともしがたいですね^^;
ということで、自分の記憶を留めるという意味でも、今回のBESTは10作品とかケチケチせずに『2008BEST50』といきましょうか(笑)
50作品も挙げたので、順位はありません。また個人BESTなので、平気で古い作品も登場します。



恩田 陸   月の裏側
       不連続の世界
       小説以外

今年はダントツで「いのちのパレード」が素晴しかったです。1作1作がくっきりとイメージを結び、それが集まってさらに密度の高い一つの世界を構築している。
恩田作品のなかでも上位にきた短編集でした。

小路 幸也  スタンド・バイ・ミー 東京バンドワゴン
       カレンダーボーイ
       空へ向かう花

今年は小路さんの新刊ラッシュで追いつけないほど新作が次々と刊行されました。
その中でバンドワゴンは老舗の安定感になってきましたね。
あまり皆さんの評価が高くなかった「カレンダーボーイ」。本年のBEST小路作品はこれでした。どうも、彼の作品に関しては、独自の好みが出てしまうようですね^^;

湊 かなえ  告白

真っ黒で、面白くて、後味最悪。でも、惹きつけられる作品でした。

坂木司    先生と僕
       青空の卵

2冊しか挙げませんでしたが、ひきこもり探偵シリーズは3冊ともに好きな作品です。ゆきあやさんの大プッシュで手にとって本当によかった。感謝です。今年6冊も読んでしまった最多読了賞の作家さんです(笑)

加納朋子   ぐるぐる猿と歌う鳥
       モノレールねこ

ミステリーランドのBEST3くらいに入るほど良かったですね。この作家も今年初めて読んだのですが、皆さんに愛されるのがわかるような、そんないい作品でした。追いかけていきたくなる魅力です。

有栖川有栖  幽霊刑事
       孤島パズル
       月光ゲーム

もう名声は確立されている作家であるにもかかわらず、20年ばかりご無沙汰していました^^;;
国名シリーズでコケタのが原因とはいえ、江神シリーズがこんなに好みだったとは・・・!今まで何で読まなかったんだ~~~!と大後悔。
きっかけはゆきあやさんのオールタイムベスト「幽霊刑事」でした。ありがとうございました。坂木さんといい有栖川さんといい、今年はゆきあや嬢に足を向けて眠れませんね。



こちらはmepoさんの梨木祭りで読んでみた作品。心を癒し、活力を与えてくれる、そんな素敵に優しい作品でした。ブログのお友達にいかに依存して読んでいたかが、このBEST記事でわかってきました。


「夜市」を越えるのは難しいのでしょう。それでも、静かで怖い恒川ワールドにまた浸れたのは幸福な読書。


今年一番面白かったのが本書。どこから見ても完璧なエンターテイメントです。貴志さんの構築した新世界の謎にどっぷりと浸りきって、あっという間に読み終えていました。

今野敏    隠蔽捜査
       果断~隠蔽捜査2~

この本の主人公には今年のキャラクター賞でも進呈したいくらいです。あまり読む気のおきない作家さんでしたが、この2作で評価が変わってしまいました。


皆川祭り参加作品(笑)これは濃厚でした。今年の収穫は皆川博子再評価でしょうか。

荻原浩    

「告白」とともに今年のブラックブラック賞を進呈。


べるさんのご紹介で読んだ今年一番のバカミス^^;この作家も初めて読んだのですが、他の作品にも手を出してしまいそうです。中3の息子にも好評でした(笑)



ミステリーランドは最近ハズレがありません。「アリス」の雰囲気を踏襲しつつ、優れた青春小説を創り上げた作者。言うまでもないのですが、巧みな作家ですね。

金城一紀   映画篇

ぴかりんさんお薦めの本書。今年一番感動したのがこの「映画篇」でした。短編の一つ一つが、ある街の様々な人達の人生を描いているのですが、それがある映画の上映会に集約されるところなど、たまりませんでした。
人生の愛おしさ、哀しみ、映画への溢れる愛情、暖かい感動にしばし酔いました。

綾辻行人   深泥丘奇談

ミステリの大家である綾辻氏。でも、ホラーものや、スプラッタホラーまで、作風は幅広い方でした。本書はさらに幻想文学にまでその作風を広げた、素晴しい作品になりました。
ミステリ以外では、この作品が一番好きになりました。

北森鴻    香菜里屋を知っていますか
       桜宵
       蛍坂

香菜里屋シリーズ。三軒茶屋にひっそりと佇むビアバーに魅せられて、幾度もその扉を開いたものです。そこに行けば必ず満足できる美味しい料理とお酒、そしてお客から語られる謎。
マスター工藤の見事な推理に酔いながら、いつまでもこのビアバーで飲んでいたかったのに・・。

牧薩次    完全恋愛

もねさんのご紹介で読んでみた本書は、ある有名作家の別名作品です。ただ一人の女性を愛し続ける画家の生涯。
彼をめぐる人々と、そこに隠された秘密。実はこの作家の作品は初めて読んだのですが、思っていた雰囲気とはまったく別物で、古めかしい重厚な作品でした。

佐々木譲    警官の血

S・ウッズの「警察署長」を意識して書かれたという佐々木版「警察署長」。本家に劣らぬ重厚な作品ですが、これが実に読んでいて面白い。三代に渡る警察官の家族を描いているのですが、きっと警察小説の代表作になると思います。

金井美恵子  スクラップ・ギャラリー~切りぬき美術館~

作家金井美恵子が楽しそうに古今東西のお気に入り美術品をスクラップするという楽しい企画。ルノアールが大嫌いだった彼女が、映画監督ジャン・ルノアールの作品から翻って、父親ルノアールの絵画に目覚めるところなど、興味深いものでした。その他、あまり知られていない韓国の美術品など、金井美恵子の美意識が溢れた選択眼も見所でした。

伊坂幸太郎  ゴールデン・スランバー

この作品はまだ保留中^^;読み返してみないとなんとも言えません。伊坂幸太郎の代表作のような感じになってきましたが、あまり乗り切れなかったというのが正直な感想。でも、気になる作品なのでここに入れました。

久保寺健彦  みなさん、さようなら

面白い着想でした。ここから話を膨らませていくのも上手いと思いますが、主人公が自己中で、いつまでも子供な

のにイライラ。あ、作者にうまく乗せられているのでしょうか(笑)


ここで、字数制限、その2に続きます。