湊かなえ 『告白』

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みなさま、メリークリスマスでございます。
大変ご無沙汰いたしました^^;;

聖なる夜、恋人たちのクリスマスになんて小説をUPするんだ、とお思いのかた。KYのしろねこでございます(笑)
もう、真っ黒なお話しでして、けっして読後感のいい小説ではございません。とにかく登場人物全員、ここまで嫌な性格ってのは他に類を見ないのではないでしょうか。

新人作家ということですが、各章ごとに語り手を変えて一つの事件をくっきりと浮かび上がらせていく手法など、かなりの腕前ではないかと思います。その事件というのが、中学校の女性教師の娘の殺害事件。
それも教え子による犯行という救いのないものです。
中学、高校生による犯罪の凶悪化は最近では珍しくもない社会現象ですが、ここに出てくる子供達の心のありようは、背筋が薄ら寒くなるほど荒廃したものでした。人として、当然感じるであろう心の喪失。畏れも後悔もすべては、自分のためにしか感じることができない、まるで昆虫のような子供達。
さらに子供を導くべき大人たちまで自己中心的で、おぞましい殻をかぶっているようです。
しかし、いやだからこそのリアリティが、読者をぐいぐい引き込んでいきます。
書店員のオススメ本らしいですが、たしかにこの本は、とんでもない黒い魅力に溢れていました。
とくにラストの幕引きは、ド真っ黒・・・。
こんなトンデモな終幕はアリなのでしょうか?

まあ、今年読んだミステリのなかでも、かなり上位に入るのではないかと思ってます。

しかし、これ、きっと2年後にはすっぽり抜け落ちている、そんな予感もする作品でした。


あまりにも面白かったので、中3の息子に読ませてしまいました(笑)
感想は「まっくろだなあ。直君がだんだんぶっ壊れるのがよかった~」デシタ(笑)