ホラーアンソロジーの愉楽
ご存知のように海外もの、ホラーものといえばbeckさんが出てくる。その膨大な知識、読書経験を惜しみなく注ぎ込んだアンソロジーとなれば読まないわけにはいきません^^。残念ながら全てを読んでないのですが、入手不可能な本もあり、このへんで公開することにいたしました。
どの短編も選りすぐりのホラーで、様々なテイストが味わえました。お目当ての短編ばかりでなく併録されていた他の短編も面白く、アンソロジー苦手意識が少し払拭されました。
beckさん、ありがとうございました。
どの短編も選りすぐりのホラーで、様々なテイストが味わえました。お目当ての短編ばかりでなく併録されていた他の短編も面白く、アンソロジー苦手意識が少し払拭されました。
beckさん、ありがとうございました。
なんとも不気味で不思議な作品を書く作家でした。
「忘れられた女の子」は、ある夏、友人の別荘に招待された夫人が、客の一言から怖ろしい妄想に囚われて帰宅する、というもの。
ほんの数ページの短編の中に、母親である夫人の恐怖と焦燥が濃縮されています。
「忘れられた女の子」は、ある夏、友人の別荘に招待された夫人が、客の一言から怖ろしい妄想に囚われて帰宅する、というもの。
ほんの数ページの短編の中に、母親である夫人の恐怖と焦燥が濃縮されています。
「鼠」という短編にしても、毎年招かれていた友人の家。それが、年ごとに鼠たちによって荒らされ、ついには崩壊を招くという不条理な話。
「待っていたのは」はあるカップルが旅行先で遭遇する、理不尽な仕打ちを描いています。
どれも、孤独な個人の恐怖をシュールリアリスティックに描いて引きつけられます。
理解や論理をこえた不条理な世界の中で、むき出しにされた人間の孤独の恐ろしさ。
ブッツァーティという作家、初めて読みましたが、歯ごたえのある硬派なタイプで気に入りました。
リュイス・シャイナー「輪廻」
ハロウィーンの夜、レスリーたちは6年続けてウォルターの山荘に集まり会合を開いていた。そこでは、全員が怪談を朗読しあうことになっていた。今年もまたハロウィーンの夜が来て、何人かの友人達が恒例通り山荘に集まってきた。
朗読が始まり、いくつかの怪談が読まれたあと、ウォルターは、以前の仲間が送りつけてきた原稿を取り出した。
短い物語ですが、タイトル通りの終りの無い恐ろしさが味わえます。
美しく肥沃な大地に根付き、何世代も続くアイルランド人の農民とそこに侵略者としてやって来たイギリス人兵士との物語。
この短編集にある怪異譚は復讐物が多く、日本の幽霊譚のように悪行を行ったものがその結実として超自然的な怪異によって復讐をされるといった内容が多かったです。この話も、そんな復讐ものの一つでした。
ドルメン、メンヒルなどの巨石文明の香り、プーカという子鬼のような妖精。家人の死を予告すると言われている、バンシー。
アイルランドの豊かな幻想文学の土壌から生まれた傑作ホラー短編でした。
ドルメン、メンヒルなどの巨石文明の香り、プーカという子鬼のような妖精。家人の死を予告すると言われている、バンシー。
アイルランドの豊かな幻想文学の土壌から生まれた傑作ホラー短編でした。
ロバート・R・マキャモン「ベストフレンズ」
『ハードシェル』よりふふふ、出ましたね、マキャモン。
この短編がどの時代のものかは分かりませんが、初期のグチャグチャ、ドロドロのマキャモンのホラーが堪能できます^^;文学的になってからのより、こっちの低級ホラーのほうが好きっていう私が変なのかな?
この短編がどの時代のものかは分かりませんが、初期のグチャグチャ、ドロドロのマキャモンのホラーが堪能できます^^;文学的になってからのより、こっちの低級ホラーのほうが好きっていう私が変なのかな?
レイ・ブラッドベリ「トランク詰めの女」
『幻想と怪奇 宇宙怪獣現る』早川文庫このシリーズは本当にいろいろなテイストを楽しませてくれるアンソロジーですね。
中でも「なんでも箱」など、子供の心理、超自然の癒しの力を描いて秀逸でした。
で、「トランク詰めの女」ですが、これはブラッドベリにしては少し変った路線の物語かもしれません。
屋根裏部屋で少年が見つけたトランク詰めの女の死体。
マネキンなのか、本物なのか。手紙は誰にあてて書かれたものなのか。まるで、ミステリのように畳み掛ける展開。そして、事件の真相が・・・。
現実と妄想が錯綜し、少年の焦燥をあおっていきます。
現実と妄想が錯綜し、少年の焦燥をあおっていきます。
ノスタルジックな作風が特徴だと思っていましたが、こんな心理ミステリのような短編も書くのですね。
パトリック・マグラア「串の一突き」は未読。