本のタイトルリレー~ジェラルド・ダレル 『鳥とけものと親類たち』
本楽家協会のご長寿イベント、「本のタイトルリレー」。
ルールは簡単。前の人のお題、私の場合「語り女(め)たち」のなかの一語を選びそれの入ったタイトルの本の紹介をする、というものです。
「女たちよ!」「ライオンと魔女」「薔薇の女」
「鳥とけものと親類たち」。
うん、これにしましょう。「鳥とけものと親類たち」。
この作品はジェラルド・ダレルが自分の少年時代を描いた世にも楽しく面白い本なのです。
なんといってもジェリーの家族が皆、変人奇人で楽しめます。
長男のラリーは、作家。変わり者で、家に様々な友人を呼び、母や兄弟に迷惑をかけます。
次男のレズリーは銃器マニア。
姉のマーゴは、にきびに悩み体重になやむお年頃。
長男のラリーは、作家。変わり者で、家に様々な友人を呼び、母や兄弟に迷惑をかけます。
次男のレズリーは銃器マニア。
姉のマーゴは、にきびに悩み体重になやむお年頃。
そしてジェリー少年ときたら!
コルフの豊かな自然に育まれた動物たちにすっかり魅せられて、ひがな一日虫を観察し、ヤスデを追っかけ、蟻の行進にどこまでも付いていく。
部屋は小動物を収めたビンや水槽であふれ、ときたまその動物たちは家族を悩ませることになります。
ギリシャの田舎の純朴な人達との交流もまた、楽しい。
コルフの豊かな自然に育まれた動物たちにすっかり魅せられて、ひがな一日虫を観察し、ヤスデを追っかけ、蟻の行進にどこまでも付いていく。
部屋は小動物を収めたビンや水槽であふれ、ときたまその動物たちは家族を悩ませることになります。
ギリシャの田舎の純朴な人達との交流もまた、楽しい。
一家の相談役スピロ。
タクシーの運転手を営み、樽のようなからだを、よたよたと運び、力強い手と、黒いベルベットのような豊かな声を持つ男。
タクシーの運転手を営み、樽のようなからだを、よたよたと運び、力強い手と、黒いベルベットのような豊かな声を持つ男。
博識で謙虚な学者で、医者のセオドア。
この変人のメンバーを纏め上げるのが、母上。
彼女の頭の中は美味しいお料理のことでいっぱいですが、さすがにこのメンバーを育てただけあって、ラリーの友人にもレズリーの銃のことにも、ジェリーの蒐集品にも、なかなか太っ腹な寛大さを示します。
彼女の頭の中は美味しいお料理のことでいっぱいですが、さすがにこのメンバーを育てただけあって、ラリーの友人にもレズリーの銃のことにも、ジェリーの蒐集品にも、なかなか太っ腹な寛大さを示します。
内容の素晴らしく面白いところもよいのですが、ダレルの文章の美しさもまた魅力です。
仔猫の足のようにやわらかで暖かい微風がそっと船をなでてゆく。とか
嵐が過ぎさると、空はすっかり洗われてイワヒバリの卵の澄んだ空色になり、地面は湿ってフルーツ・ケーキかプラム・プディングのような豊潤な食欲を刺激するほどの、芳香をはなった。とか・・・。
訳者が言ってるように、プラム・プディングのようなこのお話し、ジェリー少年の素敵に幸福な子供時代を豊かに暖かく、ユーモアたっぷりに描いています。
コルフ島の風、オリーブやテンニンカの香りがこちらにも漂ってくるような、幸せな読書になりました。
蛇足ながら、兄のラリーは、あの「アレクサンドリア四重奏」を書いた、ロレンス・ダレルです。
残念ながらただいま出版社では品切れとなってしまってます。
しかし、1作目の「虫とけものと家族たち」はまだ入手可能。
「鳥とけものと~」「風とけものと友人たち」の2作は図書館などで、手にはいると思います。
「鳥とけものと~」「風とけものと友人たち」の2作は図書館などで、手にはいると思います。
この「鳥とけものと親類たち」のみ持っておりますので、希望があれば貸し出しもいたします。
というわけで、お次の方は「鳥」「けもの(獣)」「親類」「たち」ということで、よろしくお願いいたします。
のちほどゲスブに伺います。
のちほどゲスブに伺います。
9月6日追記 本のタイトルリレーの歴史をアニスさんが纏めてくださいました。 以下、アニスさんのまとめに追加して、一覧を載せておきます。 【一周目】 1. ちいらばさん『小説ドラゴン桜』 2. アニスさん『ドラゴン探索号の冒険』 3. Cuttyさん『麦酒の家の冒険』 4. しろねこ『ワイン通の復讐-美酒にまつわるミステリー選集-』 5. 素朴なOLさん『復讐執行人』 6. 海山ごはんさん『特別執行機関カーダ』 7. たいりょうさん『12皿の特別料理』 8. あざらしさん『注文の多い料理店』 9. おじゃさん『最後の注文』 10.himaさん『放課後』 11.mkobさん『放浪の戦士 デルフィニア戦記1』『こちら、郵政省特別配達課!』『黒後家蜘蛛の会』(三択) 12.きいちごさん『『黒いお姫さま』ドイツの昔話』 13.まぁさん『王子さまを探す女、お姫さまを待つ男―「自分探し」の落とし穴』 14.gakiさん『女生徒』 15.めぽさん『女の一生 一部・キクの場合』 16.ちろママさん『ペンギンの憂鬱』 17.あんびるさん『名探偵の呪縛』 18.ミラさん『なぞ食探偵』 【二周目】 19.田中栞さん『本棚探偵の回想』 20.りんごさん『本棚が見たい!3』 21.大三元さん『子どもが減って何が悪いか!』 22.ちいらばさん『子どものことを子どもにきく』 23.おじゃさん『大地の子』 24.gakiさん 『天才数学者たちが挑んだ最大の難問 フェルマーの最終定理が解けるまで』 25.アニスさん 『心は孤独な数学者』 26.ゆきあやさん 『長距離走者の孤独』 27.冴さん 『キスまでの距離 ~おいしいコーヒーのいれ方 Ⅰ~』 28.beckさん 『蜘蛛女のキス』 29.ぞうの耳さん 『語り女たち』 30.しろねこ 『鳥とけものと親類たち』 31.べるさん 『鳥類学者のファンタジア』 32.月の骨さん 『アメリカの鳥たち 』 33.たいりょうさん 『ぐるぐる猿と歌う鳥』 34.mepoさん 『ねじまき鳥クロニクル』 以上です。