広瀬正 『マイナス・ゼロ』

出版社/著者からの内容紹介
タイムマシンを駆って、懐かしい少年時代の世界へ戻った男…。恐るべき空想力と奇想天外なアイディア、奇抜などんでん返し。日本SF史の記念碑的存在となった著者の第一長編。

SFのジャンルでいう「時間もの」の傑作という噂をかねがね聞いてはいましたが、なぜか絶版という哀しい末路を辿った本書。
もねさんのおかげで、手に取ることができました^^。

読了した今でもまだ、頭がグルグル廻っております。

昭和20年の空襲の夜から始まり、昭和2年から38年まで、昭和の激動の時代を舞台にしたこの物語は、噂にたがわぬ骨太のSFでした。
構成の妙、時間ものの醍醐味を味わいました。

時間をこえて人類が旅をする。
この魅力的な設定は数多くの名作を生み、知的興奮を感じさせてくれました。
本書は幾多の名作の中でも、とびきり面白く、タイムマシンやパラドックスの描き方が理にかなっていました。
ラストはミステリも顔負けの謎が解明され、読者は今までのエピソードが一気に解明されていくスリルを堪能します。

登場人物も、お人よしのカシラ一家、ワンパク坊主のオヤブン、ミステリ好きのホステス、レイ子など興味が尽きません。
昭和のノスタルジックな風俗、そして有名な事件などに幻惑されながら作者の構築した「循環する物語」にクラクラして欲しい傑作でした。



さて、次はあんごさんですね。
もねさん、企画も本もありがとうございました^^;