三羽省吾 『太陽がイッパイいっぱい』
大学生活のぬるま湯に嫌気がさしたイズミは、バイトで始めた解体屋の仕事がすっかり気に入ってしまい、マルショウ解体の一員として働きはじめた。
建設中のビルのコンクリートの型枠をバラし、一日中汗を流す。
仕事の後の、あまりのビールの旨さに釣られ、単調だが、本気で必死なマルショウのメンバーとのシンプルでリアルな生活にのめりこんでいく。
建設中のビルのコンクリートの型枠をバラし、一日中汗を流す。
仕事の後の、あまりのビールの旨さに釣られ、単調だが、本気で必死なマルショウのメンバーとのシンプルでリアルな生活にのめりこんでいく。
肉体を酷使する労働、汗まみれで危険で、身入りもその日の夜を楽しく過ごせば、いくらも残らない。そんな彼らの姿を、はじけた大阪弁で爽快に描いていく。
登場するマルショウ解体の面々がたまらない。
トラブルメーカーのごんたくれ、カン。マッチョ丸坊主系の巨漢で、"チンピラ”という言葉を知らない宇宙人がいたら、カンの語り口や服装を見せればいいという熱い男。
赤面症のイケメン、クドウ。ロンゲのキリストのような風貌で漫画で言えば「池上遼一」風のキャラ。しかし、付き合う女の子はデブで不細工な「赤塚不二雄」風、というこちらもアンバランスな男である。
他にもリストラされたサラリーマン崩れのハカセ、留学生崩れのコウ、食堂の看板娘メロンちゃん、ガード下の痩せ犬ヨゴレ。
そんなデコボコしたキャラたちが、大阪の夏の日差しにくっきりと浮かび上がる。
彼らの姿はやたらとかっこいい。
登場するマルショウ解体の面々がたまらない。
トラブルメーカーのごんたくれ、カン。マッチョ丸坊主系の巨漢で、"チンピラ”という言葉を知らない宇宙人がいたら、カンの語り口や服装を見せればいいという熱い男。
赤面症のイケメン、クドウ。ロンゲのキリストのような風貌で漫画で言えば「池上遼一」風のキャラ。しかし、付き合う女の子はデブで不細工な「赤塚不二雄」風、というこちらもアンバランスな男である。
他にもリストラされたサラリーマン崩れのハカセ、留学生崩れのコウ、食堂の看板娘メロンちゃん、ガード下の痩せ犬ヨゴレ。
そんなデコボコしたキャラたちが、大阪の夏の日差しにくっきりと浮かび上がる。
彼らの姿はやたらとかっこいい。
私は20代前半、ほんの一年半くらい内装や展示会のブースを設計する会社にいたことがある。
このとき現場で、色々な人達と仕事をさせてもらった。この小説でいうと親方やカントクのような人たちだ。
彼らの口調は新鮮でこちらがひっくり返るような、率直なものだった。
最初のころ、自分が描いた図面をもって、「これ、お願いします」なんて言うと
ジロリと一瞥をくれ
「なんや、このクソ図面、誰が描いたんや!」
と一喝される。
クソ図面を描いた本人は小さくなって
「私です」
と言うしかない。
「こんなんじゃ作れん!もって帰れ!」
と言われ、スゴスゴ引き下がる。新人たちは男も女もなく、これをやられた。
そして、上司に細かくチェックを入れてもらった図面をまた持参すると、今度は
「ふんッ!!」
とすごいフンを一つ貰って、受け付けてもらえるのだ。
このとき現場で、色々な人達と仕事をさせてもらった。この小説でいうと親方やカントクのような人たちだ。
彼らの口調は新鮮でこちらがひっくり返るような、率直なものだった。
最初のころ、自分が描いた図面をもって、「これ、お願いします」なんて言うと
ジロリと一瞥をくれ
「なんや、このクソ図面、誰が描いたんや!」
と一喝される。
クソ図面を描いた本人は小さくなって
「私です」
と言うしかない。
「こんなんじゃ作れん!もって帰れ!」
と言われ、スゴスゴ引き下がる。新人たちは男も女もなく、これをやられた。
そして、上司に細かくチェックを入れてもらった図面をまた持参すると、今度は
「ふんッ!!」
とすごいフンを一つ貰って、受け付けてもらえるのだ。
結局そこは、あまりのハードな残業に音を上げてやめてしまった。
しかし、送別会をやってもらった時、チョビヒゲに黄色いグラサン、角刈り頭のお兄ちゃんが
「しろねこさんに、真っ赤なバラの花束を」
と、同僚に預けてくれたのが、今でも忘れられない。
辞める娘には花束。花束ならバラ。バラなら真っ赤。
そんな潔いお兄ちゃんのセンスが嬉しくて他の方のプレゼントは覚えてないのに、バラの花束だけはくっきりと記憶に残った。(スミマセン、他の方々^^)
しかし、送別会をやってもらった時、チョビヒゲに黄色いグラサン、角刈り頭のお兄ちゃんが
「しろねこさんに、真っ赤なバラの花束を」
と、同僚に預けてくれたのが、今でも忘れられない。
辞める娘には花束。花束ならバラ。バラなら真っ赤。
そんな潔いお兄ちゃんのセンスが嬉しくて他の方のプレゼントは覚えてないのに、バラの花束だけはくっきりと記憶に残った。(スミマセン、他の方々^^)
読みながら、そんな思い出まで浮かんでしまったこの作品。
最後の締めに疑問が残るものの、熱くて本気でさらに大笑いまでして読んでしまう傑作本だった。
最後の締めに疑問が残るものの、熱くて本気でさらに大笑いまでして読んでしまう傑作本だった。
他の作品も絶対探すぞ、と拳を握り締めた私でした。