首藤瓜於『刑事の墓場』

イメージ 1

内容(「BOOK」データベースより)
署長の右腕として活躍したエリート刑事・雨森の転任先は、開署以来、一度も捜査本部が置かれたことのない小さな動坂署。そこは不祥事を起こした者や無能な警官を飼い殺すための“刑事の墓場”と恐れられていた。不貞腐れて過ごす雨森の、動坂署での初仕事は、痴話喧嘩が原因の些細な傷害事件。だが、やがて県警全体を巻き込む大事件へと発展し、いよいよ拗ね者たちが立ち上がる。江戸川乱歩賞受賞の異能が描く、待望の書下ろし長編小説。

この作品、あらすじを読んだ時点で「面白そうではないですか」と思ったのですが、う~ん、これはなんと評すればいいのか・・・。
「脳男」で異色の作家としてデビューした首藤瓜於氏。その3作目(なのか)にあたる本書。
シリアスな刑事物として読んでみたのですが、どうも細かな点ばかりでなく、大まかな筋の組み立てにも疑問を呈しながらの読書となってしまいました。

ある若い女性の殺人事件をめぐり、所轄の動坂署に捜査本部がたつ事になった。
30年ぶりの捜査本部に動坂署の面々は納得がいかない。動坂署をつぶす動きを察して、雨森を本庁のスパイではないかと疑う刑事も出てきた。

警察内部のドロドロや、縄張り争いなどが描かれていくのですが、今ひとつ盛り上がらない。
なにか、動坂側がバラバラなんですよね。無能の烙印を押されたすね者たちが立ち上がるといっても、あまり爽快な感じも受けず、彼らの特技や人脈も生かされてない。
もう少し、駄目刑事たちが勇ましく変身してくれたほうが、エンターテイメントとしては面白かったように思えます。

結末もどう言ったらいいか・・・「肩すかし」という言葉がどうしても出てきてしまいます。
展開はスピーディで面白いのですが、詰めの甘さが惜しかった。
異色の刑事物でした。