パトリシア・J・マクドナルド 『十三年目の殺人』

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先日すばらしいプレゼントを頂きました。
もう10年以上前から、読みたくても図書館にも古本屋さんにもなかった「十三年目の殺人」です。
もねさん、本当にありがとうございました!
その上、一緒にヴァレリーラルボー「美わしきフェルミナ」が!!
これも日本語訳は今では全然手に入らない「忘れ去られた作品」なのです。


そこでさっそく「十三年目の殺人」をご紹介したいと思います。
え?どんなに面白いと言われても、読めない本ではしょうがない?
そう言わずにお付き合いください、10年越しの嬉しい出会いなんですから^^;

無実の愛人殺しの罪を着せられ、12年の服役後、裏寂れた冬の離島にやって来たマギー。
悲惨な生い立ち、無実の罪での服役、自殺未遂と不幸のかたまりのような彼女は、ビクビクした神経過敏なふるまいしかできない可愛そうな女だ。
それでも、獄中で文通をして知り合った新聞社のオーナーの世話でこの寂しい島に職を得たのは、唯一の幸運だった。
12年の苦しみから解放されて、マギーはようやくブティックを眺めたり、ドレスをあてて鏡に自分を映したりすることができる。
しかし、そんな彼女の背後には悪意に満ちた監視者の視線が。
誰も知らないその町で、誰が彼女を待ち受けていたというのだろう。

やはりこの作品待たされただけのことはありました。
傑作サスペンスの情報は確かでした。
メアリ・H・クラークの作品と間違えるようなねっとりした恐怖と、それを最後までひっぱる確かな筆力。マクドナルドという作家があまり評価されていないのが不思議なくらい面白い本でした。
わりと早い時期にこの監視者の正体は明かされるのですが、何故マギーを狙うのか、さらに謎は深まりサスペンスは盛り上がっていきます。
排他的な人達が住む離島で、マギーは一人ぼっちで追い詰められていきます。
彼女を愛する男性や、親切な同僚の女性も現れるのですが、前科を知られたくないマギーにとって本当の救いはもたらされることがないのです。

クラークの小説のように徹底していじめられるヒロインも、それを陥れる謎の監視者も狂気をはらんで心理サスペンスの名に恥じない作品でした。

この処女作で世に出た彼女は、向こうでは有名作家の仲間入りをしたようですが、最近はどうなのでしょう。
マザーズ・デイ」「危険な求愛 ケープクリスチャン殺人事件」「ベビーシッター殺人事件」が邦訳されているのみです。

追記
もねさん、貴重な本を(それも2冊も!)ありがとうございました。
フェノミナマルケス」のほうもそのうちUPさせていただきます。
長らく読みたかった本だけに、この横顔の表紙を手にしたときは感動いたしました^^;