レヴ・グロスマン 『コーデックス』

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りあむさんのブログで紹介されていた「本をめぐるミステリ」です。
カバーの折り返しにある各紙の書評(煽り文句)は以下の通り。

ダ・ヴィンチ・コード」を凌ぐ傑作サスペンス
イギリスで話題沸騰のベストセラー!
古典ものブームの昨今のなかでも、この本は卓越している。 <ヴィレッジボイス>誌
本棚の『薔薇の名前』や『抱擁』の横に置くべき。書物に関する一気読み本だから。 なんていい小説だ!
<ニューヨーク・タイムズ・ブック・レビュー>誌
すごく熱中してしまう本だ。今まで書物や歴史に関する本に夢中にならなかったとしても、これには夢中になるだろう。
<サンタ・クルーズ・センティネル>紙

なんとそそられる煽り文句ではありませんか!
と思ったら、当のりあむさんの評価はけちょんけちょん。

ミステリとしてはあまりに中途半端で、ラストは拍子抜け。

でした。

しかし、あらすじを読むとこれがまたおもしろそうなのです。

内容(「BOOK」データベースより)
休暇中に公爵家の蔵書を整理することになった銀行員のエドワード。そこには『キムメリア人の国への航海』という、14世紀に書かれた幻の古写本があるはずだという。もしそれが発見されればものすごい価値を持つという書物だ。いったいそれはどんな書物なのか?本当にここにあるのか?そしてなぜ公爵夫人はそれを捜しているのか?エドワードは中世学専攻の女子学生マーガレットの力を借りて、すべての謎解きに挑むのだが…。

ラストが拍子抜けを覚悟で読み始めました。
この全く期待度の低い状態から読んだのが功を奏したのか、久々の興奮を味わいました。

この作品、古写本の捜索にからめて、なんとも魅力的なオンラインRPGゲームが登場するのです。
主人公エドワードの友人が強引に彼をこのプレイに引き込んでいくのですが、まったく関係のないはずのゲームが、『キムメリア人の国への航海』の世界を映したような内容になっているのです。
エドワードは主人公とはいえ、まったく頼りにならない(銀行員ですから)探索者で、偶然知り合った専門が中世学のマーガレットに助けられて(ほとんどお任せ)仕事をすすめます。
自分の休暇中ということもあり、半ば道楽、時間つぶしのつもりで引き受けた仕事。しかし、古い書物にまみれて埃だらけになって格闘するうちに古写本の魅力にとりつかれていきます。
その上よせばいいのに、帰宅するとオタクよろしくRPGゲーム「モーモス」を始めてしまう。
このゲームがまた、どこが面白いんだかよく分からない、やたら細部が描きこまれた精巧なフィールドの中をさ迷うことになる不可解なRPGです。しかし、ゲーム初期のヒントを見逃して出発してしまったエドワードのキャラクターは、現実と奇妙に符合する謎めいた世界の迷路から抜け出せずに歩き続けることとなってしまいます。

古書の薀蓄もちりばめられ、ゲームの仮想現実が現実と絡み合う面白さもあり、ノンストップで読みふけってしまいました。
ちなみに「コーデックス」の意味はずばり「本」の形をした古書などの呼び名です。巻物や蝋版や石版など古い時代は様々な形態の古文書があったのですね。

正反対の感想になりましたが、りあむさんのご紹介で楽しい時間が過ごせました。ありがとうございました。
これから読む方は、自己責任で読んでみてくださいね(笑)
そして、感想など聞かせていただくと嬉しいですね^^;