梅原克文 『サイファイ・ムーン』

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出版社/著者からの内容紹介
驚異の漢方薬の謎を垣間見るランナー、かぎろいに翻弄されるディレクター、特殊能力を身につけたボクサー、それぞれの運命が交錯するとき……。月にまつわるサイファイ・ホラーの傑作中短編集!

内容(「BOOK」データベースより)
闇に谺する異能者たちの宴。すべては、月が知っている!夜ごとに謎めく怪事件、めくるめくサイファイ・ホラーの万華鏡。あの『二重螺旋の悪魔』から8年、鬼才が仕掛ける初の中短編集。 

スケールの大きな長編ホラーSFの書き手ですが、この短編集もなかなか読ませてくれました。

連作短編となっていて、最初の「冬人夏草」はそこそこのホラー短編なのですが、「人麿異聞」はかなりゾッとする面白さでしたし、「胡蝶乱武」は不気味ななかに美しい要素があって好きな短編です。

しかしこの3編が第4話の「科幻月輪」にリンクしていくあたりからはドキドキするほど面白くなってきます。
梅原作品のなかでは最も評価の低い本書ですが、私は何故かこの作品が好きで読み返したりしています。
文章がどうとか、最後の詰めが甘いとかいろいろ言われているのですが、「月」の魔力をテーマに様々な超常現象を描き、その現象の影響で不思議な能力を身につけた人達のストーリーがたまらなく面白い。

「変身譚」「かぎろい」「魔眼」「瞑眩」各章に与えられたテーマはそれぞれ魅力的で謎に満ちています。所々で科学的な説明も試みているのも梅原らしい強引さもあって楽しめました。

ただし最後の中篇「アルジャーノンに菊の花を」はあまりにも関係ない作品なので、ページ数合わせに収録されたのかと思ってしまいました。
できれば分けて収めてほしかったですね。


おまけ
第3話の「胡蝶乱武」はガンパレードから主人公の名前をとったようです。
こちらも面白そうなゲームですね。

高機動幻想ガンパレード・マーチ
1945年、第二次世界大戦中に突如として黒い月が出現する。それと同時に幻獣と呼ばれる謎の生命体が人類に襲い掛かった。意外な形で大戦が終結し、同時に幻獣に対して人類は共同戦線を張ることを余儀なくされた。

本書と内容が似たところがあります。やってみたいなあ。