川田弥一郎 『白い狂気の島』

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「白く長い廊下」に続く著者2作目の医療ミステリです。


狂犬病清浄国の日本で、39年ぶりに患者が発生した。台風接近で孤立した幹根島を襲う白い狂犬の恐
怖。

誰が、いつ、どこから、島に持ち込んだのか?島の青年医師・窪島典之は恋人ちづるの協力を得て、事件

解明に乗り出すが、謎は益々深まるばかり…。 


前作の主人公、麻酔医の窪島が活躍します。相変わらず、医師としての腕はよくても推理には向かない窪島に代わって、ちずるの頭脳がたよりという展開。

小さな島の診療所を舞台に、39年ぶりに日本に現れた恐ろしい伝染病「狂犬病」。発病したら100%死に至る病

おりしも台風が来て、本土との行き来が遮断され孤立した島はワクチンもなく、窪島は狂犬病の発生を島の人達に知らせるべきか迷います。

保健所のお役人や、島の指導者たちの思惑がからんでパニックを防ぐため情報は隠されます。

何故小さな幹根島に狂犬病が発生したのか、感染源とされる白い犬はどこにいったのか、そして、窪島のとった措置は非難されるものだったのか?

様々な立場の人々の利益や損失、いろいろな要素が絡み合いながら、狂犬病の知識も加わって興味深い物語になっていました。

ラストもひとひねりあって、なかなか読ませるミステリでした。