西澤保彦 『依存』

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これはミステリーといえるのだろうか?
西澤保彦匠千暁シリーズ最高傑作、と裏の紹介文にありますが、何か途中で混沌のなかに置き去りにされたような気分のある読後感でした。
いや、つまらなかったのではありません。次々と現れる登場人物たちをめぐるたわいもない謎、タックが過去に負った深い傷、それらが絡み合いながら、緊迫したラストへとなだれ込んでいきます。


七月の終わり、いつもの四人組タック、タカチ、ボアン先輩、ウサコら仲間七人は、大学の白井教授宅に招かれた。そこで初めて、みなは教授が最近、長年連れ添った妻と離婚したこと、そして新しい妻の存在を知る。

年齢は四十歳前後だという、まだ若々しく、妖しい魅力をたたえた女性。

彼女を見て、タックは青ざめた。

「あの人は、ぼくの実の母なんだ。そして、ぼくには彼女に殺された双子の兄がいたんだ。」

匠千暁、衝撃の告白で幕を開ける、容赦なき愛と欲望の犯罪。(紹介文より) 


愛が執着に変り、執着は妄執に至る。それは人を狂わせておぞましい行為に走らせてしまう。
いつものように、みんなが集まると繰り広げられるたわいもない推理ごっこが導き出す恐ろしい真相。

誰にでもある、ちょっとした日常のひび割れから覗くのは隠してあった過去の犯罪だったり、欺瞞だったりするのだ。

ラストはかろうじて救いを残して終わっています。
タックとタカチの絆はさらに深まったけれど、タックってば可愛そうすぎますよ。

面白かったことは確かですが、この作品はなかったことにして、次の作品をよみたいですね。(オイ!)