金井美恵子 『ページをめくる指』

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センダック、片山健、ピーター・ラビット――誰もが読みふけった絵本の世界の魅力を、誰よりもその世界を愛する小説家が存分に読みとく。絵本を愛するすべての人々への、またとない贈物。

と出版社からの紹介文を載せてみましたが、読んでみるとさすが金井作品で、けっこう毒があったり皮肉っぽい文章が多かったり、普通の絵本紹介とは一味違っています。

(絵本を)読んだり見たりすることによって、まざまざとした鮮明さでよみがえって来る様々な時間や記憶を、ページをめくる指が経験するためには、生きてきた時間が必要だということだろう。絵本というものは、おそらく、何度も読みかえすためにあるのだ。

こんな一文がありました。このエッセイは雑誌「母の友」に連載され、若い母親のため、どんな絵本を読み聞かせればいいのか、よきガイドとして書かれたはずなのですが(笑)
でも、自分の体験も考えると、色々息子に読んでやった絵本が、自分の記憶や経験に分かちがたく結びつき、その後何度も1人で読みかえすといったことがあり、やはり、↑の文章は正しかったのかなと、おもいいたったのでした。

特にマーガレット・ワイズ・ブラウンの本がいくつも載せられて、クレメント・ハードのコンビによる「おやすみなさいおつきさま」や「ぼくにげちゃうよ」などは、また読みかえしたくなってしまった。
ブラウンの他の絵描きとの作品も2冊あり、これから探してみようと思います。

センダック、片山健、などあまり絵本に興味のないわたしでも、ちょっと読みたくなる絵本が多数掲載されてお得です。



また、金井さんが子ども時代に読んだ「きんのふね」などは、ちょっといいのかな?と思うくらい辛辣なことが書かれてました。
確かに今見るとちょっと不気味な作品なのですね。
講談社から出てるのですが「大日本雄弁会講談社発行」とあるのにドン引き(笑)
昭和40年とか30年代のものなのかなあ・・。

実際、子どもに与えようというよりは大人が読んで楽しんでほしいエッセイですね。
昔の記憶を懐かしむのもいいし、これから探す本の参考にするのも楽しいと思います。


M・W・ブラウンの記事はこちらhttp://blogs.yahoo.co.jp/one_zero99/65160393.html