ダン・ブラウン 『パズル・パレス』

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ダ・ヴィンチ・コード」で今をときめくダン・ブラウンの処女長編小説。
「天使と悪魔」「デセプション・ポイント」などの前に書かれたということで、急遽翻訳してパッパと売っちゃおうといった狙いなのかな、と思ったのです。
しかし、さすがページターナーの面目躍如です。
処女作と言えども、さくさく読み進めることができて内容もなかなか満足いくものでした。
前評判が悪かったせいもあるかもしれませんが、この作品は悪くない。いや、面白かったですね。

全通信を傍受・解読できるNSAスーパーコンピュータートランスレーター>が狙われる。
対テロ対策として開発されたが、一般市民の通信全てをmp監視可能なこのコンピューターの存在は決して公にできない国家機密であった。
だが、この状況に憤ったスタッフが、自ら開発した「デジタル・フォートレス」という解読不能な暗号ソフトを盾に、<トランスレーター>の公表を迫ったのだ。このソフトが流布されれば、アメリカは完全に無防備になってしまう。

情報といってもアメリカ合衆国の機密ですから半端なものじゃあありません。
それが、どのように集められ分析されて防衛に役立っているのか。ただ読んでいても「こんなことって、フィクションじゃないよなあ。」と思わせるリアリティがあり、しかも娯楽作品として気楽に楽しめる。やはり一作目からして只者ではなかったんですね。

主人公のスーザンとベッカーの描き方はいつものダン・ブラウンの通りです。
そして、本作の主役<トランスレーター>と「デジタル・フォートレス」。
片方は世界最高のコンピューター、もう片方は世界最高の暗号解読ソフト。この2つの戦いが人間達の欲や意地、そんな生臭いものをからめて暴走を始めます。

もちろん、お約束の危機もたっぷり。手に汗握る終盤はさすがでしたね。

情報戦争ものがお好きな方なら楽しめる作品だと思います。