北森 鴻 『写楽・考』蓮杖那智フィールドファイルⅢ

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蓮杖那智シリーズ3作目、これで既刊の那智ものは最後になるのでしょうか。
とても楽しませてもらったシリーズだけに終わるのがもったいないような気がしますね。
北村先生、早く次を書いてください!

憑代忌(よりしろのき)

 旧家に伝わる「お守り様」と呼ばれる人形の調査に、内藤と佐江由美子は派遣された。しかし当主火村が殺害される事件に遭遇してしまう。無残に頭を破壊された人形は殺人予告だったのか。
 憑代の変換を軸に、旧家に伝わる人形と大学内部の都市伝説をからめて那智の推理が展開する。

湖底祀(みなそこのまつり)

 F県の湖底に沈む神社の調査のため那智に呼び出された内藤と佐江であるが、ろくに活動もしないまま那智が村から消えてしまう。それを引き継ぐように教務課の狐目が現れる。三人がたどり着いた神社に隠された謎とは。鳥居、御柱祭塞の神那智の発想が飛躍する。

棄神祭(きじんさい)

 まだ那智が院生だった頃、福岡の旧家御厨家で起きた殺人事件。未解決のまま終わった事件が現在に甦ろうとしているのか。奇妙な祭祀、神像を燃やしわらべ歌を歌い続ける人々。
 破壊される神をテーマに過去の事件を解き明かす。

写楽・考(しゃらくこう) 

 学会誌に載った驚くべき新説、仮想民俗学の論文。無名の著者、式直男(しきすなお)とは何物か。
 失踪した式とその屋敷に伝わる謎めいたカラクリ箱。歴史の闇に沈んだ美術品と絵師。
 スリリングな那智と狐目の推理がたどり着いた驚愕の真相。 


「驚愕の真相」を使ってしまいました(笑)
この巻で狐目の本名が明かされます。ここでも狐目大活躍で民俗学の研究者として再起するのか、ファンとしてはがんばってほしいところです。

新たに助手として加わった佐江由美子も、だんだん強い女の片鱗を見せ始め、内藤君の立場はますます苦しいものになりそうです。

冬狐堂も登場して、協力者となり解決に一役買うところも北森作品の楽しさですね。