ステル・パヴロー『暗号解読』

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 年始の抱負もむなしく、最近は毎日更新ができていませんでした。

その元凶がこの「暗号解読」だったのです。


 サイズ21×15cm 二段組活字 478頁 これだけで最近根性がなくなった私は敬遠してしまうは

ず。ところが、書店の平積みコーナーで見かけて図書館に予約を入れてしまいました。

 何故か惹かれるものがあったのでしょう。(←りあむさんに怒られそうですね)

 この本、薄紫っぽい表紙に小さくタイトルがデザインされていて、知的とか洗練とかを狙ったのかもし

れませんが、あまりにも無愛想。その上、カバーの折り返しや裏表紙にもあらすじや簡単な書評すら載っ

てないのです。

 もちろん著者ステル・パブローも未知の作家です。(作家と訳者の紹介だけちょっと載ってましたが)

まったくの白紙でこれだけ分厚い本を読むのは久しぶり、っていうか初めてですね。

 結論から言うと、すっごく楽しいSFでした^^;久しぶりに私の勘はヒットを飛ばしました^^

 とにかく著者の博覧強記ぶりに驚きます。

 学問や用語を駆使して挙げてみると・・・

 言語人類学 地球物理学 考古学 神学 宗教 文化人類学 天文学 地質学 カバラ 薔薇十字   
 神話 微生物学 バイオテクノロジー ナノマシーン 遺伝学 黙示録 洪水伝説

 これだけじゃなくまだ、世界中の遺跡や古代文字がやたらと出てきます。

 かと言って、難解な解説ではなく文脈に解かりやすく納まっているあたりはさすが、映画のシナリオを

書いていただけのことはあります。

 ストーリーは、2012年の近未来が舞台。南極で石油掘削船が事故を起こす。そのときに海底からC60という自然界に存在しないはずのダイヤモンドが掘り出された。

さらに船に搭載されたカメラは信じられないものを写していた。南極の海底に沈むC60で構築された巨

大な遺跡である。その表面には古代文字がびっしりと刻まれていた。

シュメール以前に出来た、いや1万2千年も前に刻まれた碑文である。

遺跡の名は「アトランティス」。

その頃、地球は太陽の重力波の影響を受け各地で大地震津波などの被害が続発していた。又、重力波に

不可思議な反応をする世界各地の遺跡の下から同じC60が発見される。C60は長い通路を作ってい

た。そこを電流のようなエネルギー波が走り抜けていく。太陽重力波とC60にはなにか関連がある、そ

う考えた学者と軍のチームがプロジェクトを作り謎の解明にあたる。大規模な遺跡アトランティスに全て

の謎と解決策が眠っている。だが、時間はあまりにも足りなかった。

 1万2千年に一度の太陽の大規模なフレアがあと2日で地球をおそう。人類いや全地球生命の絶滅の危機

である。各分野のエキスパートたちが危機回避の鍵を求めてアトランティスの文字解読に全力を注ぐ。 


著者はグレアム・ハンコックやエーリッヒ・フォン・デニケンの仮説からヒントを得てこの荒唐無稽な

SFを書いたそうです。

 なんと、人類絶滅まであと二日・・・その間に見たことも無い碑文を解読し地球を救う計画を立てなけ

ればならないのです。作者の大風呂敷を笑って楽しんでください。各学問、学説は必ずしも正確なもので

はないかもしれませんが、著者が腕によりをかけて読者を楽しませようという意欲が伝わってきます。こ

の本が小説1作目と書いてありました。次作も翻訳が待たれます。


お薦め度★★★★☆