ファンタジー学部課題 ジョナサン・キャロル 『月の骨』

イメージ 1

内容(「BOOK」データベースより)
あたしはとっても幸せ。この世でいちばんすてきな旦那さまがいるし、おなかには二人の赤ちゃんも。でも最近、変な夢を見はじめた。ロンデュア、これが夢の世界の名前。あたしとあたしの息子のペプシは、五本の月の骨を探すためにその世界に帰ってきたのだ。やがて夢が現実に、そして現実が夢に少しずつ忍びこみはじめたとき…衝撃の傑作。 

ごめんなさい。偏見もってました。
何がってジョナサン・キャロルの本のことですよ。

でもねでもね。月の骨さんや、ゆきあやさん、たいりょうさん。
錚々たるメンバーが口を極めて絶賛していたので、ようやく読んでみようという気持ちになったんです。

ファンタジー・ホラーの名作でしたね。
なんであの表紙はあんなに、ひねこびた、不気味な男の子の絵なんでしょう?
夢のなかでカレンの息子として出てくるペプシは、聡明で可愛らしくて、勇気がある男の子です。
あんな不気味な指吸いの子供じゃありません。
偏見の大部分は、この不気味な表紙のイラストに植え付けられたんです。

一筋縄ではいかない作品です。
高踏な文学の香りもあり確かに良い本でした。
どこが良いかと聞かれると困るたぐいの面白さです。
ストーリーが面白く、独創的。
愛すべき登場人物たち。
不思議な世界観、驚きに満ちた夢の中の異世界「ロンデュア」の描写。

そして・・・途中から、主人公カレンの夢の中の世界だった「ロンデュア」が現実に侵入してくるその怖さ。思いがけない裏切り。
最初の恋愛小説みたいなイントロを抜けると、不思議な世界が待っています。
「ヤスムーダの夢」「泥熊手」「麦汗」
感覚的で詩的な言葉。
夢の中にでてくる息子ペプシ、旅の仲間の犬、狼、らくだ。

帽子をかぶった犬のミスター・トレーシーの誠実な人柄(犬柄?)と、現実世界のゲイの親友、エリオットに惚れてしまいました。
どんな面白さかはどうぞ、ご自分の目で確かめてください。

ストーリーの面白さ、衝撃も読みどころですが、「ロンデュア」での奇妙でイマジネーション溢れる旅のディテールも大きな魅力の一つでした。

※UPした画像は変更後のものです。(たぶん)
 以前のものはもっと気持ち悪かったです^^;