山田宗樹 『直線の死角』

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第18回横溝正史賞受賞作です。

弁護士の小早川が受けた二つの依頼。
一つは夫をひき殺された未亡人の示談交渉。
もう一つは、やはり家庭のある男をひき殺した女性の弁護。

相反する2つの仕事に忙殺されている小早川の事務所に有能な女性が入社してきた。
彼女の意見を聞くうちに未亡人の夫の死因に不審な点がみつかった。
彼は過失ではなく故意に殺害されたのではないか? 

あまりすさんお薦めのミステリです。

交通事故鑑定人や、小早川が顧問を務める元ヤクザの社長、ちょっと間が抜けているが、明るく行動家の名(迷)探偵坂本弁護士など、くっきりしたキャラクターが活躍する一気読みのミステリでした。

最後は、愛する女性のために命をはったアクションありでなかなかエンターテイメントのツボを押さえた作品でした。

この作者、今話題の「嫌われ松子の一生」の作者なのです。
これがデビュー作になるのでしょうか。
かなり、人物の描き方もよく、なによりスピード感ある展開が読ませます。
女性が聖女と悪女しか出てこないのが難ですが、このテーマでは許せますね。

他のミステリも、疾走感のあるノンストップものらしいので、要チェックの作家かも知れません。