宝石のようなゲーム「ICO」
も感動の余韻が消えずに、心の奥深く生涯に渡ってその人に寄り添う物語があると思います。
角の生えた少年ICOは、村のしきたりで「霧の城」の生け贄として奉げられます。廃墟のような城の中
ルは倒れ、壊れてしまいます。自由になったICOは城から脱出するために出口を探す冒険を始めるのでし
た。
城の中は迷路のようになっていました。ICOが巨大な塔の内部に入っていくとはるか高い空中に大きな
鳥かごのようなものが吊られています。中には捕らわれの少女ヨルダが閉じ込められていました。
ICOはヨルダを助け出し二人で手を繋ぎ城の中を進みます。途中、黒い人影のような魔物がヨルダを連
れ去ろうと襲ってきます。ICOは、棒切れや落ちていた剣を取って影を撃退しヨルダを助けながら広大な
廃墟のような霧の城をさらに進み続けるのでした。
ゲームを進めます。この操作ですごくいいなと思ったのが、ヨルダをR1ボタンで呼ぶ時です。白いドレ
スを揺らしながら少女が走ってきて近寄ると手を繋ぎます。その時コントローラーがわずかに振動するの
です。二人の心の震えのような親愛に満ちた感情がプレーヤーの手のひらに伝わります。
城のグラフィックがまた素晴らしい。二人を閉じ込める存在として描かれています。古く巨大で陰鬱な
石造りの城の内部を私たちはICOになって、ある時は仕掛けを探しながらゆっくりと、ある時は敵からに
げるため必死に走りつづけます。
冷たく邪悪な力を持つ城の主に向かっていく13歳の少年ICOの勇気、ヨルダを守ろうとするけなげさ
に胸が熱くなります。またヨルダの仕草がうっとりするほど優雅で愛らしく、この作品が心に残るのも彼
女の存在があるからでしょう。
ゲームとしての難易度は低く、クリアするのにさほどの時間もかかりません。でもクリアするのがもっ
たいないとおもったゲームは「ICO」が初めてでした。